【技術で唯一無二の存在に】
栗原工業の社長に、栗原祥浩氏が就いた。設備大手各社が好調な業績を背景に、建設業界で存在感を高めている中で、自社の今後について「技術力を武器にオンリーワンを目指し、栗原工業を唯一無二の存在にしていきたい」と意気込む。「大阪に拠点を置きつつ、国内外でグローバルに活躍する企業でありたい。自分自身はもちろん社員も、そして企業としても可能性を広げていきたい」と話す栗原社長に、その方策などを聞いた。--抱負を
「当社は今年で創業から106年を迎えた。長い歴史と、国内だけで1000人規模の従業員を擁する企業のトップとして、会社を未来へとつなぐ重責を果たしたい」
--経営方針について
「大切にしたい価値観は、『人間尊重』『誠実と信用』『技術研鑽(けんさん)』の三つ。『技術の栗原』という看板にこだわり、社員の健康と幸福を第一に、これからも技術力で社会に貢献していく。『誠実と信用』は、創業者・栗原信虎の言葉だが、21世紀になってもその精神を変えることなく、大切にしていきたい。歴史の蓄積に甘んじることなく、未来志向で積極的に取り組んでいく」
--事業展開の方向性について
「国内市場はオフィス、生産系施設、データセンター、電力工事などいずれも活況だ。旺盛な需要に対応しつつも、選別受注を徹底している。一方、設備工事現場の担い手不足は深刻で、資材価格の高騰もまだしばらく続くとみている。人材不足という課題に正面から取り組む必要がある。『人材育成ファースト』で対応していく」
「採用面では女性や外国人材の登用を進めるなど、多様性の実現に努める。特に新卒採用については『OJT(職場内訓練)ローテーション』など、入社から3年にわたって実施しているきめ細かな社員教育の結果、離職率の低下や、技術力の向上につなげた実績もある。能力ある若手については、積極的に責任あるポジションに登用していきたい」
「海外事業は拠点を置いているシンガポールを中心に、タイ、ベトナムなど東南アジアで存在感を発揮し、当社全体の売り上げ約1000億円の2、3割を占めるまでに成長している。国ごとに市場の様相は異なるが、まずは利益率の改善に早急に取り組む」
--働き方改革について
「40代後半社員の平均年収は既に960万円以上に達し、業界トップレベルにある。今後も給与レベルの維持に努めるとともにワークライフバランスの実現に重点を置いて取り組みを進め、ヘルシー企業としてのイメージを定着させたい」
「現場技術者に対する支援にも力を入れている。『現場支援グループ』によるバックアップ体制強化に加え、デジタルツールを積極的に導入することで、技術者一人ひとりの業務量の軽減と、休暇が取りやすい環境づくりを急速に進めてきた」
「BIMの導入を始め、コロナ禍の中ではじめたDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが、ここまで功を奏している。非上場企業だからこそスピード感をもって実現できたとも言える。今後は、AI(人工知能)やロボット活用なども考えていきたい」
* *
(くりはら・よしひろ)1994年3月早大理工学部卒。古河電気工業勤務を経て、99年4月栗原工業入社。2016年12月常務営業担当、23年12月代表取締役専務全社副統括を経て、25年12月18日付で就任。趣味はジムでのトレーニング、ゴルフなど。大阪府出身、54歳。
◆記者の目
大学で電気工学を専攻し、卒業後は古河電気工業で技術者として5年勤務した。栗原工業入社後も現場業務に従事するなど、電設工事の面白さ、厳しさを身をもって経験した。「高度なエッセンシャルワーカーである技能者の存在価値を認め、きちんと処遇しなければならない。協力会社の採用活動を支援するなど、一緒に解決していく手立てを考えていく」
栗原工業の社長に、栗原祥浩氏が就いた。設備大手各社が好調な業績を背景に、建設業界で存在感を高めている中で、自社の今後について「技術力を武器にオンリーワンを目指し、栗原工業を唯一無二の存在にしていきたい」と意気込む。「大阪に拠点を置きつつ、国内外でグローバルに活躍する企業でありたい。自分自身はもちろん社員も、そして企業としても可能性を広げていきたい」と話す栗原社長に、その方策などを聞いた。--抱負を
「当社は今年で創業から106年を迎えた。長い歴史と、国内だけで1000人規模の従業員を擁する企業のトップとして、会社を未来へとつなぐ重責を果たしたい」
--経営方針について
「大切にしたい価値観は、『人間尊重』『誠実と信用』『技術研鑽(けんさん)』の三つ。『技術の栗原』という看板にこだわり、社員の健康と幸福を第一に、これからも技術力で社会に貢献していく。『誠実と信用』は、創業者・栗原信虎の言葉だが、21世紀になってもその精神を変えることなく、大切にしていきたい。歴史の蓄積に甘んじることなく、未来志向で積極的に取り組んでいく」
--事業展開の方向性について
「国内市場はオフィス、生産系施設、データセンター、電力工事などいずれも活況だ。旺盛な需要に対応しつつも、選別受注を徹底している。一方、設備工事現場の担い手不足は深刻で、資材価格の高騰もまだしばらく続くとみている。人材不足という課題に正面から取り組む必要がある。『人材育成ファースト』で対応していく」
「採用面では女性や外国人材の登用を進めるなど、多様性の実現に努める。特に新卒採用については『OJT(職場内訓練)ローテーション』など、入社から3年にわたって実施しているきめ細かな社員教育の結果、離職率の低下や、技術力の向上につなげた実績もある。能力ある若手については、積極的に責任あるポジションに登用していきたい」
「海外事業は拠点を置いているシンガポールを中心に、タイ、ベトナムなど東南アジアで存在感を発揮し、当社全体の売り上げ約1000億円の2、3割を占めるまでに成長している。国ごとに市場の様相は異なるが、まずは利益率の改善に早急に取り組む」
--働き方改革について
「40代後半社員の平均年収は既に960万円以上に達し、業界トップレベルにある。今後も給与レベルの維持に努めるとともにワークライフバランスの実現に重点を置いて取り組みを進め、ヘルシー企業としてのイメージを定着させたい」
「現場技術者に対する支援にも力を入れている。『現場支援グループ』によるバックアップ体制強化に加え、デジタルツールを積極的に導入することで、技術者一人ひとりの業務量の軽減と、休暇が取りやすい環境づくりを急速に進めてきた」
「BIMの導入を始め、コロナ禍の中ではじめたDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが、ここまで功を奏している。非上場企業だからこそスピード感をもって実現できたとも言える。今後は、AI(人工知能)やロボット活用なども考えていきたい」
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(くりはら・よしひろ)1994年3月早大理工学部卒。古河電気工業勤務を経て、99年4月栗原工業入社。2016年12月常務営業担当、23年12月代表取締役専務全社副統括を経て、25年12月18日付で就任。趣味はジムでのトレーニング、ゴルフなど。大阪府出身、54歳。
◆記者の目
大学で電気工学を専攻し、卒業後は古河電気工業で技術者として5年勤務した。栗原工業入社後も現場業務に従事するなど、電設工事の面白さ、厳しさを身をもって経験した。「高度なエッセンシャルワーカーである技能者の存在価値を認め、きちんと処遇しなければならない。協力会社の採用活動を支援するなど、一緒に解決していく手立てを考えていく」











