小野測器東大と連携/中部リンケージコモンズ本格着工/デジタル開発の実験施設 | 建設通信新聞Digital

12月22日 月曜日

中部・北陸

小野測器東大と連携/中部リンケージコモンズ本格着工/デジタル開発の実験施設

左から永井講師、大越社長、塚越取締役兼上席執行役員
完成イメージ模型
 小野測器が愛知県豊田市で計画する新事業所「中部リンケージコモンズ(CLC)」が本格着工する。次世代モビリティーの開発に向け、自動車産業の中心地である中部エリアに東大と連携した、デジタル開発を推進する実験環境を整備する。横浜市、宇都宮市に続く同社第三の技術開発拠点とする。18日に現地で地鎮祭と取材会を開き、報道関係者に事業概要を説明した。
 東大大学院新領域創成科学研究科との社会連携講座を通じ、EV(電気自動車)の振動抑制制御に関する共同研究を進めており、同施設の試験設備に共同研究で得られた世界最高レベルの制御技術を実装する。
 実験棟には計測室兼プロジェクトルームやNV(騒音・振動)向け実験室を設ける。静粛性に優れた「NC-30相当」の車ごと入る大型半無響室と、台上試験で路面状況を再現する「RC-S」を組み合わせた実験室を構築し、実方向に近い環境での高精度なNV計測やEV(電気自動車)車両の微細な振動・騒音解析を実施する。
 本館棟には中部営業所(同市)を移転統合する。カフェエリアを設置し、共創パートナーとのコミュニケーションの場とする。
 実験棟(S、RC造平屋一部2階建て延べ866㎡)と本館(S造2階建て延べ497㎡)の2棟で構成する。建設地は緑ヶ丘7-18の敷地4534㎡。
 実験棟の設計は渡辺建築事務所、施工は丸彦渡辺建設、本館の設計施工は三協フロンテアが担当する。2027年4月に竣工、同年9月の稼働開始を目指す。建設費は23億円。
 稼働後はユニットハウスで構成された共創パートナーが共同研究を実施可能な「共創ヴィレッジ」を整備する予定だ。30年以降に新たな技術領域に挑戦するための新実験棟も計画している。
 地鎮祭には、小野測器の大越祐史社長や塚越照取締役兼上席執行役員計測機器領域担当、東大大学院新領域創成科学研究科の永井栄寿先端エネルギー工学専攻特別講師らが出席し、工事の無事を祈った。
 大越社長は、「CLCはお客様との共創を生み出す場だ。この拠点をフックにエンジニアリング事業を拡大し、シミュレーションソフト開発を強力に推進する」とコメントした。