西松建設/鉛直スリット不使用の新構法/耐震安全と省力化実現 | 建設通信新聞Digital

12月24日 水曜日

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西松建設/鉛直スリット不使用の新構法/耐震安全と省力化実現

スマートスリット構法
一般的な工法
 西松建設は、RC造建物の袖壁付き柱(柱の両側か片側に壁が取り付いた形状の柱)で鉛直スリットを使用しないスマートスリット構法を開発した。一般的に袖壁と柱の間には鉛直スリットを設置するが、目地を設けることで水平スリットのみの使用で耐震安全性を確保する。作業や検査の簡略化を実現し、現場業務の省力化に貢献する。 開発構法では、袖壁内の鉄筋のうち、縦方向の鉄筋は上階の梁の中に定着するが、横方向の鉄筋は振れ止め筋を除き目地があるため、柱には定着しない構造となる。施工は目地の形成も含め、一般的なRC造の施工手順と大きく変わらず、容易に実施できる。
 構造実験や解析的な検討を繰り返しながら開発した。その結果、開発構法は一般的な設計で想定される変形の約4倍の変形状態になっても、建物に脆性(ぜいせい)的な破壊は生じず、耐震安全性が確保されていることを確認した。日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得した。
 開発に当たっては、秋田県立大の西田哲也教授、菅野秀人教授、日大の高橋孝二教授の指導を受けた。
 開発構法を15階建て共同住宅に適用した試設計を実施した。その結果、鉛直スリットが必要となる複雑な形状の袖壁付き柱を除き、RC造袖壁付き柱の多くに適用でき、建物全体における鉛直スリットを約50%削減できることを確認した。
 今後は、開発構法を積極的に採用し、建物全体の構造安全性を担保しつつ、さらなる現場作業の効率化、省力化を展開できるよう技術開発を進めていく。