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連載・舗装技術タイムマシン(上)

掲載日 | 2026/02/24 1面

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テストコースの全体像。現在は無人大型トレーラーが昼夜問わず走行し続ける             

【社会実装の早期化を実現/テストコースが未来創造の基盤へ】
 道路舗装技術の進化が加速している。機能や利用形態の多様化により、道路空間や舗装技術に求められるレベルが高まっているためだ。一方、変化の激しい時代にあって、社会実装までのスピードの遅さは業界の大きな課題となっている。こうした中、大成建設グループは「大成建設グループ次世代技術実証センター」を福島県田村市に開設し、技術実装のボトルネック解消に乗り出した。大成ロテックの加賀田健司社長が“次世代技術のタイムマシン”とも表現する同センターの役割に迫る。
 道路舗装技術は多くの人が使う公共空間のための技術であるがゆえに、安全性の確保や、関わるステークホルダーの多さなどにより、社会実装されるまでに時間がかかるという課題があった。これまでも多くの優れた技術が生み出されてきたものの、それを柔軟に受け入れる仕組みが整っておらず、実証のフィールドが足りないといった壁が立ちはだかっていた。
 そこで大成建設グループは、開発技術の社会への早期実装化を目指し、新たな実証センターを開設した。施設最大の目玉は、民間企業では初の保有となる舗装のテストコースだ。
 新たに採用する舗装技術は、耐久性の実証が必要となる。国土交通省は、より合理的なインフラマネジメントを実施するためにインフラ技術基準の性能規定化を進めている。舗装分野でも、性能を保持できる想定期間として、耐久性などを実証・評価することは極めて重要であり、そのための研究を加速・前進させることが一層期待されている。
 特にアスファルト舗装の耐久性を確かめるには、実路での10年程度の実証が必要であり、社会実装のボトルネックとなっている。テストコースを活用すると、実証の期間が最大の設計交通量でも3分の1程度に短縮でき、早期の社会実装を後押しすることから、加賀田社長は「次世代技術のタイムマシン」と称する。このような施設を民間企業自ら運用することは、業界が抱える課題を見据えた大きな挑戦と言える。
 テストコースは楕円(だえん)形で、1周909m。荷重車である大型トレーラーを無人で自動運転させて昼夜間連続で走らせることで、舗装の耐久性を評価するシステムを導入している。実路に近い交通条件を再現でき、信頼性が高いデータを短期間で収集可能だ。
 現在、このシステムで異分野連携の好事例とも言える実証が進められている。大成ロテックが舗装の耐久実験で行っている大型トレーラーの運行は、日野自動車にとっては無人自動運転車両の実用化に向けた走行試験でもある。5台の大型無人トレーラーが昼夜問わず走行し続ける様子は、国内でも例を見ない。
 技術開発は、大成建設グループのシナジーを最大限に生かす。埼玉県鴻巣市にある大成ロテック鴻巣研究所の室内実験設備で基礎実験を終えた材料や施工技術は、同県幸手市にある大成建設グループ次世代技術研究所の実験プラントや施工フィールドで実用化のための製造・施工技術を検証する。その後、道路舗装としての耐久性をテストコースで実証する。
 加賀田社長は「道路舗装技術は経験則偏重の思考から科学的アプローチへと、大きな転換期を迎えている」と現状を分析する。「AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、データサイエンスと土木工学の融合で新たな専門領域が生まれつつある」と指摘した上で、「道路を単なる移動空間から情報・エネルギー伝達プラットフォームに進化させる可能性を秘める」と期待を寄せる。
 こうしたタイミングでオープンした同施設。加賀田社長は「近い将来、業界全体の舗装技術の未来を創造する拠点にしたい」と力を込める。

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