【オープンイノベで価値創造/多彩な役割で未来の道路見える化】
舗装技術の社会実装には、その認知度向上が一つの重要な要素となる。大成建設グループ次世代技術実証センターは、大成ロテックの加賀田健司社長が「オープンイノベーション機能を強化する」と言うように、技術を広く共有・発信する“開かれたフィールド”としての役割も担う。産官学の垣根を越えた研究ネットワークを構築し、技術交流会・シンポジウムの開催や、業界全体の技術革新を加速させる触媒、国内外の技術動向を常に把握できる情報ハブにもなるのだ。
施設の運営コンセプトは、「科学的実証」「オープンイノベーション」「地域貢献」の三つ。同社の島崎勝技術本部長は「さまざまな研究機関との共同研究を進めることで、施設の信頼性向上を図るとともに、将来的には国内外の機関や企業に有効活用してもらいたい」との考えを示す。
「舗装マネジメントでのDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にも力を入れる」とし、「AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)技術との融合による舗装状態のリアルタイム・モニタリングシステムの開発や、舗装の劣化予測技術の高度化による予防保全型管理への転換促進を目指す」と展望する。
こうしたテーマでは、異分野連携による新たな価値創造が鍵を握る。電気・機械・AI・自動車分野との協業による市場開拓、自動運転技術や環境負荷を低減する新素材舗装、エネルギー関連技術を組み込んだ機能性舗装などの開発にも挑む。
加賀田社長が「舗装技術の国際競争力の強化に貢献したい」と意気込むように、同施設を活用した取り組みは、世界を見据えており、「グローバルな視点を考慮した評価手法の開発と提案、海外技術との比較検証による日本の舗装技術の優位性の明確化、海外の有用な技術導入を進めたい」と決意を示す。
他方、深刻な課題である人手不足に対し、未来の道路建設の担い手確保を後押しする施設にもなるという。加賀田社長は「舗装の新技術導入の最前線として情報発信を行うとともに、子どもたちへの啓発活動などを通じて、社会インフラが果たす重要性の認知度向上に取り組む」と前を向く。
島崎技術本部長は「道路建設、舗装構築では、安全で快適な移動環境の創出を通じた人々の生活の質向上への貢献など、具体的な形で仕事の成果を実感できる」と技術者としてのプライドを胸に、「実証センターの活用により、データサイエンスを活用した開発技術の実装を通じ、目に見える形での社会貢献を体現できる」と、技術革新でインフラを整備する醍醐味(だいごみ)を語る。
脱炭素や循環型社会の形成といった足元の課題解決に向けた技術開発だけでなく、異分野や他国との連携による技術革新、技術の魅力発信による担い手創出といった多彩な役割により、未来の道路を“見える化”する同施設。
技術の早期社会実装を通じてより良い道路空間を目指し、道路関連業界全体をけん引する“タイムマシン”がいま、動き出す。
(阿部真莉映)
