日立製作所は、東京都千代田区の協創施設「Lumada Innovation Hub Tokyo」内に、生産性向上などの観点から近年注目が集まるフィジカルAI(人工知能)の体験スタジオを4月1日に開設する。「知る」「実際に動くものを見て理解する」「同社エンジニアとディスカッションする」の三つを行える場として設け、顧客に技術を紹介する。
23日に報道陣へ公開した。同社は、フィジカルAIを「現場のデータから得られたAIの分析・判断を、ロボットの制御や設備の自動操作といった具体的なアクションにまでつなぐ技術」と定義し、▽モビリティー(鉄道など)▽エネルギー(電力など)▽インダストリー(工場など)--の3分野向けの技術開発を進めている。
人手不足や人件費高騰などを受けて顧客からの問い合わせが2025年末以降増えており、「何から手を付ければいいのか分からない」との声があったため、見て触って体験できるスタジオを開設する。自律学習ロボットやセンサーグローブなどの展示から始め、徐々に拡充する予定だ。
現場で自ら学びながら動作を最適化し、複雑作業を自動化するフィジカルAI技術も開発し、体験スタジオの公開に合わせてデモンストレーションを実施した。開発したのは、継続学習技術、高速推論AIモデル、全身協調動作学習技術の三つ。これらの組み合わせにより、業務用エアコンのケーブル敷設作業や部品の摘み取り作業をロボットが自動で行える。
ケーブル敷設は3カ所のクリップに挿入する作業を実演。ケーブルは柔らかいことからロボットによる敷設作業が難しかったが、人の動きを模倣した動作を反復訓練する継続学習を重ねることにより、徐々に速度と作業品質を高め、わずか10秒で作業を完了した。部品の摘み取り作業では、作業しやすい位置へ自律的に移動した上で、トレー内の部品を右手でつかみ、左手に持った箱の中に入れる様子を公開した。
日立製作所は今後、数十人規模から成るフィジカルAI推進センターを4月1日付で立ち上げ、5月20日には東京都港区のザ・プリンスパークタワー東京でイベントを開催するなど、フィジカルAIの社会実装に力を入れる。
