【持続的で強靱な経済基盤を】
長崎県は、県土面積の約7割を半島と離島が占め、県民の3分の1に当たる約40万人がそこで暮らしている。さらに、土砂災害警戒区域の数は全国2位という極めて過酷な地理的特性がある。こうした中、2月の県知事選挙で初当選した国土交通省出身の平田研氏は「人口減少に左右されない、持続的で強靱な経済基盤づくり」を掲げる。就任から2カ月を迎えた平田知事に、抱負や西九州新幹線のフル規格化、石木ダム建設事業、地域建設業への思いなどについて話を聞いた。
【産業振興、人材育成に注力】
--就任の抱負は
「私の原点は生まれ育った長崎にある。国土交通省での法制度・予算に関わる実務や、他県での行政経験で培った知見を注ぎ込み、山積する課題の解決に挑む。県民が安心して住み続けられ、産業面でも存在感を発揮できる県にしたい。単なる現状維持ではなく、次世代が希望を持てる未来を切り開くことが私の使命だ。6月補正予算では独自色を出し、産業振興や人材育成の分野に力を入れ、前向きな将来に向けた投資となる予算を確保したい」
--長崎県の地理的特性とイ ンフラ整備の必要性は
「ひとたび大規模な自然災害が発生すれば、甚大な被害が生じ、地域の孤立を招くリスクが常にある。だからこそ『人口減少に左右されない、持続的で強靱な経済基盤』の構築が不可欠だ。県民の生命・財産、日々の暮らしを守り抜く県土強靱化は、県政の最優先事項だ」
--インフラ整備をどのよう に加速させるのか
「第1次国土強靱化実施中期計画の予算を最大限に活用する。河川や砂防整備はもちろん、道路・港湾・空港などのネットワーク強化、さらに老朽化対策としての戦略的メンテナンスに注力したい。特に、県内の高規格道路網には約3割のミッシングリンクが残されており、この解消が地域のレジリエンス確保には急務となっている」
--西九州新幹線の全線フル 規格化や石木ダム建設事業へ の対応について
「全線フル規格化は、西九州地域全体の持続的発展に不可欠だ。まずは環境アセスメントの着手を第一歩として目指している。佐賀県の財政負担や在来線の課題は、国や政府与党による負担軽減策の検討を注視しながら、佐賀県の立場を尊重した粘り強い対話を重ねたい」
「長い歴史があるダム事業に対する地域住民の思いは非常に重く、行政の論理を押し付けるだけでは進まない。私は、直接現地を歩き、建設賛成・反対双方の意見を伺った。住民の希望に耳を傾け、専門家の意見を聞く有識者会議を近く設置する。対話を通じて納得感を醸成することが、最大のリスクを回避する道だと確信している」
--災害時の地域建設業の役 割をどう評価しているか
「小さな離島などでは建設業者の数が確保できていない地域がある。災害時の応急対応から復旧・復興に当たり、地域の建設業がしっかりと機能することが非常に重要だ」
--建設業の担い手や技術系 職員確保に向けた対策は
「県内の建設業従事者は50歳以上が約5割を占める一方、29歳以下の若手は約1割という危機的状況だ。人材確保・育成・定着の3本柱を掲げ、産学官連携で週休2日制の導入や適正な工事費の積算などで給与・労働環境の改善を力強く後押しする。技術職員の確保は、体験型や有償型インターンシップの導入を進め、26年度から部局横断の採用プロジェクトチームを設置し、採用戦略や試験制度の抜本的な見直しを進めている」
