【歴史つなぎ、殻破り前進】
鉄建建設の社長に、今井政人氏が4月1日付で就任した。鉄道工事のトップランナーとして、安全対策を徹底しながら「これまでの歴史をつなぎ、前へ進む会社にしたい」と意気込む。「真面目な社員が多く、社是の『信用と技術』がその気質に反映されている」とする一方、「一緒に殻を破って新しい会社をつくっていきたい」と力を込める。新たな鉄建建設を実現していく今井社長に、今後の経営戦略を聞いた。
--経営環境は
「建築分野の利益率が改善し、業績は上向きだ。昨年度の利益は今年度の計画値を上回った。現中期経営計画の最終年度である2028年度の数値もアップデートする。5月8日に公表したパーパスを踏まえ、中計のその先の経営方針を示す」
--注力する事業は
「JR東日本関連では、羽田空港アクセス線の工事が最盛期を迎える。品川駅や新宿駅の大規模工事も安全に留意して進める。そのほかの鉄道関連工事では、全体区間の約10%の施工を担う北海道新幹線でトンネル、高架橋、札幌駅の工事がピークとなる。リニア中央新幹線の工事にも力を入れる」
「道路関連ではNEXCO発注の耐震補強、4車線化工事、防衛関係は隊舎のほか、庁舎や倉庫など、これまでの実績を生かして積極的に仕事を広げたい」
「建設業の一本足打法ではなく、不動産を中心に建設業周辺の新規事業に取り組む。山梨県大月市で小水力発電事業を始めたように、環境配慮の観点からエネルギー関連事業も着実に進める。このほか、農業分野としてイチゴ農園を運営し、イチゴやその加工品を販売している」
--技術開発の方針は
「技術開発と技術人材の育成に注力する。人手不足や施工効率化のニーズに対応する技術展開を進める。遠隔操作の機械で土を掘って深礎杭を施工する、機械化深礎の開発にも力を入れている。電力消費の増加により、高架鉄塔の建て替えや新設が見込まれ、その基礎に適用していく。現在は東北電力ネットワークと連携しているが、他社にも広めたい」
「鉄道で培った技術を他分野に活用する。人手不足や工期短縮にはコンクリート構造物のプレハブ化が有効だ。鉄道高架橋のプレハブ化のための技術開発を進めてきたが、今後は道路などにも広げる」
「技術人材の育成の面では、若手に早期の上級資格取得を促す。技術士、1級建築士などを取得した際、インセンティブ(優遇措置)のさらなる付与などを視野に入れる」
--人材戦略は
「若手世代の早期育成は最重要課題だ。千葉県成田市にある建設技術総合センターなどを積極的に活用し、教育に意を注ぐ」
「卒業生を中心に学校とのつながりを強化している成果もあり、新規採用者数は上向きだ。近年は新卒・中途を合わせて120人ほどを採用できている。引き続き、採用活動に力を入れる」
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(いまい・まさひと)1988年3月京大大学院工学研究科修了後、同年4月JR東日本入社。2020年6月常務執行役員鉄道事業本部信濃川発電所業務改善推進部担当兼建設工事部担当兼大規模切換工事担当、22年6月JR北海道取締役副社長兼総合企画本部長新幹線札幌開業準備担当、25年4月鉄建建設執行役員副社長、同年6月代表取締役兼執行役員副社長などを経て、26年4月から現職。千葉県出身。63年9月13日生まれ、62歳。
◆記者の目
JR東日本時代には設計、研究といったハード部門を経験。構造技術センターに勤務し、博士号も取得するなど技術開発に並々ならぬ思いを持つ。学生時代はトンネルの研究をしていただけに、「羽田空港アクセス線のシールドトンネルの施工に携われていることはありがたい」と話す顔には、技術者としての純粋な探求心がにじむ。
