【綱渡りの型枠大工確保/若手職人、8割が外国人材】
建設現場で外国人材の存在感が急速に高まっている。急増する外国人材は、縮む労働力問題に直面する日本にとって欠かせない存在でもある。しかし依存割合が余りにも高くなると、外国人材を受け入れている業界には、先行きへの不安も募る。主要躯体3職種の一つ、型枠工事業の全国団体、日本型枠工事業協会(三野輪賢二会長)が毎年調査している『型枠大工雇用実態調査 2025年度』を通して専門工事業の今後を考える。
今回調査で鮮明になったことがある。「型枠工事が踊り場的局面」(日本型枠)と仕事量が決して多くはない中で、日本型枠会員企業の1社当たり平均就労工数が最低値だった23年の35.6人、24年36人に対し、今回は44人と増加したことだ。日本型枠は「外国人技能実習生の大幅増」を理由に挙げている。
在留資格の「技能実習生」は1号から3号まで通算5年技能を習得できる。その上で技能実習生は、「社会保険加入」と「月給制」が厳格に求められているのが特徴。このことを裏返せば、技能実習生、言い換えると外国人材の増加は型枠工事業界にとって、社会保険加入と月給制の割合を押し上げることになる。その結果、日本人技能者の賃金体系がこれまでの「日給月給制」から月給制に変わらなくても、見かけ上は月給制への改善傾向が浮き彫りになる形だ。
実際、賃金支払い形態の推移では、「月給制」の占める割合が17年の20.9%から25年には42.7%と約10年で倍増。一方、「日給月給」は17年48.0%に対し、25年には42.7%と微減にとどまった。外国人の増加が「月給制」割合を押し上げた一方で、専門工事技能者賃金で一般的な「日給月給」の割合に大きな変化がないことを示した。
型枠工事業界で技能者に占める外国人材の割合が急速に高まっているのは、調査結果からも明らかだ。
具体的には、新規入職者(24年12月から25年11月末までの1年間。新卒、転職、技能実習、特定技能などの採用者含む。技能実習から特定技能移行は除外)の、直用工や社員大工、下請け協力会社分も合わせた型枠大工の「20歳以上40歳未満」全体数は日本人108人、外国人材は500人の計608人。1年間の新規入職者に占める外国人材の割合は82.2%に達する。
実に、型枠技能継承の担い手となる20歳から40歳未満の若手職人の8割が外国人材となっている。しかし、外国人材の在留資格が5年を期限とした技能実習のままでは必ずしも技能継承対象候補になり得ない。さらに、「外国人材が日本以外の国・地域に労働の場所を求め始めた途端、日本の建設産業は大きな労働力不足に直面する」(日本型枠)不安も払拭できない。
新規入職者だけでなく年代別技能者数でも外国人材の割合が高いことは変わらない。「20歳以上30歳未満」の10年レンジで、回答企業が抱える日本人技能者333人に対し、外国人技能者は830人で、外国人材の割合は71%と7割を占める。日本型枠は調査報告書で「20歳以上35歳未満の年齢層で外国人材の割合がこの4年間で2.5倍に増加した」とした上で、「外国人技能者なしに型枠工事は成り立たない」と強調した。
これまで技能実習生として日本人技能者よりも賃金が安くても外国人材にとって魅力の一つだった「強い円(円高)」が後退する中、27年4月から技能実習に代わる在留資格制度「育成就労」がスタートする。また、担い手確保・育成に向けた新ルール「労務費の基準」も国の主導によって始まった。
しかし、一方の当事者である各業界と個社は、建設生産供給網の最前線にいる担い手(技能者)の確保・育成に向けた展望を描き切れていないだけでなく、先行きへの不安だけが先行する。専門工事業にとってこれまでの局面からの転換が始まった。
*日本型枠は全国各地の型枠工事会社を対象に、▽型枠大工の就労状況▽型枠解体工の就労状況▽技能者の標準日給▽技能者の需要予測▽賃金支払い形態▽建設キャリアアップシステムの登録、カードリーダー設置状況--について調査した(調査日は25年11月末)。今回で16回目。
