【海外事業の方針は?/持続的成長へ経営の現地化】
鹿島の海外事業本部長に、高林宏隆氏が就いた。海外事業は、売上高1兆円とグループ全体の約3分の1を占め、中期経営計画で成長領域の一つに位置付けられている。事業に従事する社員の大半を外国人が占める中、「鹿島らしい海外展開を定着させ、持続させる」と強調する。地政学や金利など足元の不安定な環境を乗り越え、持続可能な成長をどう描くのか、今後の方針を聞いた。
--就任の抱負を
「経営企画部長を務め、経営状況を把握する立場も経験した。海外事業は中期経営計画で成長領域に位置付けており、その責任者となったことに重責を感じている。売上高は、海外の現地法人を合わせるとグループ全体の3分の1と大きな割合を占める。海外事業会社が持つ強みやネットワークを生かし、鹿島らしい海外展開を定着・持続させる」
--事業環境をどう見るか
「インフレや金利上昇で経済環境は厳しい状況にあるが、建築需要は世界各地で旺盛だ。建築に加え、もう一つの柱である不動産開発事業も、金利や米国の通商・関税問題で市況が良くない時期はあったが、各地で回復しつつある。金利が高くても収益を上げられるよう、ポートフォリオの見直しやリーシングの強化で稼働率を高めていく」
--現地法人の運営方針は
「経営を現地の人材が担う経営の現地化は米国が早くから進み、欧州にも定着してきている。アジア地域でもようやく現地化が進みつつある。会議の英語化をはじめ、シンガポールの建設事業のトップを現地の人材が務めるようになった。日本人は鹿島の品質やこだわりを伝え、現場や顧客対応は現地の人材の方が得意だ。協力して技術やビジネスモデルを互いに還元し合いたい」
--海外でのM&A(企業の合併・買収)の考え方は
「これまでは付き合いのある企業が『鹿島グループなら』と賛同してグループ入りする形が多かった。ただ最近は、グループ内の現地企業が自ら企業を買収して大きくなる動きが出ている。今後は本社が直接手掛ける形と、現地の会社が主導する形の両方のうち、後者が成長戦略として増えるとみている」
--鹿島の強みをどう生かすのか
「われわれの強みは企画・提案力と設計力、施工力を兼ね備えていることだ。海外では設計部門を持たない建設会社がほとんどで、図面をもらって施工するだけの場合が多い。われわれは提案力があり、施工現場の強さがあり、その後の開発事業的な運営まで一貫して手掛けられる。鹿島らしい品質を一貫して提供することが究極の目的で、それをグローバルに展開していく。現地の建設会社に対する優位性を発揮していきたい」
--人材育成の方針は
「顧客がグローバル化し、海外と国内を行き来する中で、両方に対応できる社員を増やさなければ、業容は大きくならず成長の持続性につながらない。国内事業も好調だが、やはり海外で活躍できる人材や、現地のスタッフと一緒に経営をしていける人材を増やしたい」
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(たかばやし・ひろたか)1988年3月東大法学部卒後、同年4月鹿島入社。94年カリフォルニア大学バークレー校経営学修士課程(MBA)修了。2009年7月カジマ・オーバーシーズ・アジア取締役CFO、15年秘書室(社長)秘書役、20年4月執行役員経営企画部長、25年4月常務執行役員を経て、26年4月から現職。富山県出身。65年8月生まれ、60歳。
