大阪市が進めている阪急電鉄京都線・千里線の連続立体交差事業の工事が最盛期を迎えている。地域一体化や踏切の解消などが狙いで、進捗(しんちょく)率は2025年3月末時点で78%に達している。一方、昨今の物価高騰による事業費増額や事業期間の延期も見込まれており、改めて事業費や完成時期を精査する方針だ。
◆4駅を高架化
京都線・千里線の対象区間は、京都線が崇禅寺駅付近から上新庄駅付近の3.3㎞、千里線が柴島駅付近から吹田駅付近の3.8㎞の計7.1㎞。崇禅寺駅、淡路駅、柴島駅、下新庄駅の4駅が高架化される。事業により除却される踏切は17カ所。このうち、40分以上通過できない「開かずの踏切」が淡路駅付近に4カ所ある。側道は8路線5.9㎞を整備する。工区は8工区に分かれている。事業費は2326億円。このうち、55%を国の補助、45%を大阪市負担、8.5%を阪急電鉄負担で賄う。淡路駅付近では8.9haを対象に土地区画整理事業も進めている。
事業は、1988年に連立補助調査、91年4月に国庫補助事業に採択された。94年12月に都市計画決定し、97年1月に都市計画事業が認可され、用地買収に着手した。鉄道高架化工事に着手したのは2008年9月だった。現在の計画では、28年度の高架工事竣工、既存路線の撤去・側道整備工事着手、31年度の事業完了を目指している。
◆3種類の工法活用
高架化には3種類の工法を活用する。直上施工は、既存線路の真上に高架橋を構築し、完成後に路線を切り替えるもの。用地買収が少なく済むが、終電後の夜間に施工するため、通常より工期が長くなり、コストも割高だ。別線施工は、既存路線の隣に高架橋を構築し、切り替えた後、旧路線を撤去するもの。鉄道の運行時間に工事が可能だが、最も広く用地を買収する必要がある。直上施工と別線施工の中間的な工法が仮線施工だ。既存路線の隣に仮線を構築し、切り替えた後、当初の路線があった場所で高架橋を整備する。用地も別線施工ほど広く取得する必要がなく、昼間に工事が可能となる。しかし、別線と比べ工期は長くなる。路線内は、直上施工が1780m、別線施工が800m、仮線施工が4980mで構成する。
◆事業期間延長へ
進捗率は事業費ベースで78%となっているが、課題もある。1月27日に開かれた第17回大規模事業リスク管理会議では、22年度に想定していたリスクを物価高騰が上回るため、事業費の増額と事業期間の延長が見込まれることを報告した。事業費は既に発生しているだけでも249億円の増額となる。このうち、物価高騰による増額が220億円、地中障害物の撤去が11億円、施工方法の見直しが18億円。安全性を考慮した施工方法の再検討と働き方改革に伴う労働時間短縮などの影響もある。26年度内には正確な事業費と事業期間を整理する方針だ。
各工区の施工者は次のとおり。
▽1工区=西松建設・佐藤工業・鉄建建設JV▽2工区=奥村組・銭高組・熊谷組JV▽3工区=大林組・ハンシン建設JV▽4工区=鹿島・戸田建設JV▽5工区=森組・清水建設・フジタJV▽6工区=鴻池組・竹中土木・青木あすなろ建設JV▽7工区=大成建設▽8工区=飛島・前田・淺沼JV。
