東洋建設は26日、自航式ケーブル敷設船(CLV)「DISCOVERY」の引渡し式を、建造を担ったノルウェー・VARD社の造船所で開いた。同船は国内洋上風力市場で、発電した電力を陸側の系統へつなぐ海底ケーブル敷設工程を担う、東洋建設の戦略的中核資産との位置付けとなる。今後、約3カ月かけて日本へ回航し、到着後に国内運用へ向けた最終仕上げに移る。
海底ケーブル敷設は、洋上風力発電施設をインフラとして機能させる中核工程だが、国内では専用船による施工体制が整備途上にある。この先の洋上風力事業の本格化を控え、厳しい海象下での施工が課題とされてきた。
加えて、海外市場向けの既存船をそのまま傭船する場合には、台風やうねりといった日本特有の海象、複雑な海底地形への不適合リスクを避け、期待通りの稼働率や施工精度を確保できる体制を国内に構築する必要がある。
同社は長年培ってきた海洋土木技術を生かせる領域として、国内で未整備のCLV領域に先行投資し、当初計画どおりの引き渡しにこぎ着けた。着床式洋上風力にとどまらず、将来本格化する浮体式の係留工事や、再生可能エネルギー適地と大消費地を結ぶHVDC(高圧直流送電)による広域送電網の構想、その他の海洋関連事業にも対応する高い拡張性が特徴だ。
同船は総トン数約1万9000t、全長150.1m。国内最大級となる総容量9000tのケーブルタンクを搭載し、自動船位保持システム(DP Class2)により、変化の激しい日本の海象下でも安全かつ高精度な施工を可能とする。
ケーブル敷設モードとコンストラクションモードを切り替えられ、メイン・サブ2基のクレーンを備え、バッテリーを利用したハイブリッド運用で燃料消費を抑え、CO2削減にも貢献する。
同社は今年3月、北海道の石狩湾新港の母港化協定を締結済みだ。地域連携を進めつつ、市場の本格化を見据えて稼働体制を整える。
