【変化する事業環境に適応】
東急不動産の新社長に田中辰明氏が就任してから3カ月余りがたつ。ホテル・リゾート事業での経験はトータルで20年を超え、施設運営などに長く従事してきた。2030年までの長期ビジョン達成に向けて進む同社のかじ取り役に抜てきされた中で、「現状維持は衰退」と語る田中社長に事業の展開や経営方針を聞いた。
--就任の抱負は
「東急不動産ホールディングス(HD)の長期ビジョンである『中期経営計画2030』の達成に向けてしっかりと役目を果たしていく。策定した25年5月から着実に変わっている事業環境にしっかりと適応させて目標達成を果たしたい」
--足元の事業環境をどう見るか
「工事費の高騰や金利の上昇といった変化が起こっていることをしっかりと認識しながら意思決定をする。今後の成長には、商品の差別化も重要になってくる。より競争力の高い案件に取り組んでいくことが最も大事だと考えている」
--都市開発事業で重視することは
「まちづくりをする以上、地域の課題や多様なニーズを具体的に実現し、ハードの価値を高めるソフト面の取り組みが重要になる。運営事業での経験を生かせることもあるため、社内にもしっかり発信していきたい」
--事業上の重点エリアは
「東京・渋谷圏の価値を高めていく。まだまだ宿泊施設が足りていない状況であるため、既存施設のリノベーションも進めながら宿泊できる人数を増やし、それぞれのホテルの価値を高める。住宅分野では、渋谷で働く人などが住むコミュニティーレジデンスを整備し、つながりの中で新たなものが生まれる取り組みを進める」
--再生可能エネルギーの戦略は
「これまでの取り組みで、発電・売電・管理のバリューチェーンが出来上がった。これからは、ほかの事業とうまく組み合わせながら、地域の協力も得ながら社会的な課題に対応することで事業の価値を高めたい」
(たなか・たつあき)1990年3月慶大商学部卒後、同年4月東急不動産入社。2014年4月経営管理本部経営企画部統括部長、17年4月執行役員経営戦略部・経営計画部・マーケティングIT戦略部担当兼経営計画部統括部長、18年4月執行役員ウェルネス事業ユニットホテル・リゾート事業本部長、24年4月取締役兼専務執行役員住宅事業ユニット長などを経て、26年4月から社長兼社長執行役員。東京都出身。67年5月15日生まれ、59歳。
◆記者の目
ホテルやリゾート施設の運営事業に長く従事してきたこともあり、施設が完成した後のソフト面での取り組みを重視する姿勢が随所に光る。一方、城や古戦場を巡り、当時の土木技術に思いをはせる一面も。
