【高収益企業の評価向上が顕著】
日本総合研究所は、売上高1000億円以上の東証プライム・スタンダード市場で建設請負を主要事業とする会社の株価(2026年5月29日時点)と26年3月期決算情報を基に、ROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)の分析結果をまとめた。同研究所の近藤大介シニアマネジャーによると、ROEとPBRには中程度の正の相関が見られ、収益性の高い会社ほど市場評価も高い傾向にあるという。
建設業全体のPBRは直近1年で0.4ポイント改善し、1.2倍から1.6倍になった。中でも関電工(1.7倍から3.3倍)、三機工業(1.8倍から2.9倍)、五洋建設(1.4倍から2.4倍)の3社は1.0ポイント以上の改善を達成しており、市場からの評価の向上が顕著だ。
近藤氏は、市場評価改善の背景に(1)業績・収益性(2)資本政策・株主還元(3)投資テーマ--の3点を挙げる。業績・収益性では、良好な受注環境や価格転嫁の進展、生産性向上を背景に工事採算が改善し、上方修正や過去最高益の更新が相次いだ。
資本政策・株主還元では、増配や自己株式の取得、株式分割に加えて、政策保有株式の縮減や資金配分の明確化が進んだと指摘する。投資テーマでは、データセンター(DC)・半導体や防災・インフラ更新など成長領域を取り込む会社への期待が高まっているとした。
これらを踏まえ、建設業では、収益力の向上に加えて資本政策や株主還元に取り組む会社ほど市場評価が高まる傾向が見られた。DCなどの成長需要を取り込む会社への期待も、評価向上の一因になっている。
今後はROEの持続的な向上に加え、資本政策や成長戦略の着実な実行と市場への開示が、企業価値と市場評価の向上のために重要になると考えられる。
日本総合研究所シニアマネジャー近藤 大介氏(こんどう・だいすけ)建設・不動産、鉄道会社を中心に組織・業務改革、M&A(企業の合併・買収)・アライアンス、事業戦略などを担当する。
