「令和8年熊本地震」を受けて、建設関連各社が対応を急いでいる。29日時点での大手・準大手ゼネコン、航空測量会社などの対応状況を取材した。 =1面参照
【ゼネコン】
ゼネコン各社には被害状況や初動対応、物資調達への影響などを聞いた。
大林組は、28日夜の時点でグループ会社を含めた全従業員の安否を確認済みである。施工中の物件と自社・グループ会社の施設について、大きな被害は確認されていない。現在は、施工中物件における軽微な被害の有無や竣工済み物件の被災状況について調査を進めている。併せて、熊本県内の協力会社の被災状況や資材供給への影響についても確認を急いでいる。
大成建設は、九州支店に災害対策本部を設置した。グループ会社を含めた九州エリア勤務者全員の無事を確認し、顧客からの支援要請に対応している。「被災地の復旧に全力を尽くす」とコメントを寄せた。
鹿島は、地震発生直後に九州支店内に「災害対策本部」を設置した。本社でも総務管理本部を事務局とし、土木・建築部門を中心に本支店が連携して対応に当たっている。九州支店管内の全従業員とグループ会社、派遣人材の無事を確認済みで、施工中の現場や事業所にも現時点で大きな被害は見られない。既に日本建設業連合会経由での要請に基づき、高速道路会社へ土木技術者2人を派遣。飲料水や仮設トイレなどの支援物資の提供も始めた。「これまでの災害対応で培った知見や経験を踏まえ、対応を進める」とした。
清水建設は、本社に「震災対策総本部」、九州支店(福岡市)に「震災対策本部」を設置した。九州支店管内の従業員・派遣社員716人と家族の無事を確認したほか、熊本営業所などの自社施設や稼働現場に大きな被害がないことも確認した。施工済みの得意先施設の状況確認を進めている。
竹中工務店は、九州支店に「対策本部」を設置し、本社・大阪本店との連携体制を構築した。営業所や施工中の現場、従業員の安全を確認し、引き渡し済み建物については顧客と連携して被災状況を調査している。
五洋建設は「大規模災害対策本部」を設置した。人員・現場ともに被害がないことを確認しており、日建連や日本埋立浚渫協会と連携して復旧支援に当たるとした。
前田建設は、職員・家族全員の無事を確認済みで、施工中の現場については、土木1現場において土留めの変位が確認されたため、前日に退避措置を取り、29日現在は現地での状況確認を継続している。29日時点では本社内に対策本部は設置していないが、九州支店と随時連絡を取り合う体制を構築している。現地の被災状況や要請に応じて、他支店や関係会社と連携し復旧支援に当たる方針だ。
戸田建設は、発災直後に「災害対策本部」を設置した。九州支店の社員全員の無事を確認した。施工中の物件には被害がなかった。竣工済み物件についても調査を進めている。復旧支援は、現地情報や国土交通省、日建連からの要請に基づき対応するとし、「被災地に寄り添いながら対応を行っている」とコメントを寄せた。
安藤ハザマは、社員の人的被害や営業所・作業所の大きな物的被害が確認されなかったため、対策本部は設置せず、顧客先の被害状況調査を進めている。「日建連や顧客からの要請に応じて、インフラ復旧支援や顧客対応を行う」方針だ。
熊谷組は、九州支店に「災害対策本部」を設置し、全拠点の安全確認を完了した。九州支店の全職員の無事と管内全27拠点の安全を確認し、グループ会社や協力会社についても安否を確認した。顧客情報の収集を進めている。
西松建設は、発災直後に「災害対策本部」を設置した。被災地域に勤務・居住する社員とその家族全員の無事を確認し、施工中現場の点検でも大きな被害がないことを確認した。自治体などと連携し、道路やインフラの緊急復旧支援に向けて人員や資機材を確保し、支援体制の構築を進めている。
【航空測量】
アジア航測とエアロトヨタは28日、共同で現地の状況確認に向けた緊急航空写真撮影を実施した。エアロトヨタは29日午後に特設サイト「災害調査支援」で写真を公開した。アジア航測は29日午前の時点で同日中に特設サイト「『令和8年熊本地震』による被害状況」で斜め空中写真を公開したいとコメントした。
パスコと国際航業も29日午前、共同運行の撮影用セスナ機を宮崎空港から離陸させた。データ整理が終わり次第、撮影写真は各社の特設サイト「災害緊急撮影」(パスコ)、「災害調査活動」(国際航業)で公開する。
各社のサイトへのアクセスは2次元コードを参照。
【ドローン】
テラ・ラボは29日、「令和8年熊本地震」に絡み、同社研究資本提携先の山田商会ホールディング(山田商会HD、名古屋市、山田豊久代表)とドローン民間防災組織「JUIDA-D3(Drone Disaster Dispatch)」と連携し、航空機とドローンを使った広域情報収集を開始すると発表した。30日から熊本市と周辺地域で本格的な航空調査やドローン調査を開始する予定だ。
航空調査は2機体制で実施する。うち、先遣隊航空機で被災地域の空撮で被災状況の確認・初動情報の取得を実施する。広域計測航空機では、高精度カメラによる広域計測を実施してデジタルマップを生成し、被害状況を面的に把握する。
航空機やドローンで取得したデータは、GIS(地理情報システム)上でリアルタイムに統合・解析を行う。これに山田商会HDが収集するライフライン情報などを統合し、災害対応に必要な共通状況図を構築する。共通状況は災害対応に当たる行政・防災関係機関やインフラ事業者へ提供する。
ドローンを活用したソリューションを提供するブルーイノベーション(東京都文京区、熊田貴之社長)は、加盟する日本UAS産業振興協議会(JUIDA)を通じた陸上自衛隊西部方面隊の要請を受け、「令和8年熊本地震」のドローン災害支援活動を始めた。JUIDAや関係機関と連携しながら、ドローンを活用した被災状況の確認や捜索支援など被災地の状況に応じた活動を展開する。
