国土交通省と国土技術政策総合研究所は、2026年熊本地震で発生した建築物の構造被害の原因分析を本格的に始めた。低層木造建築物や煙突、免震建築物、非構造部材の四つを主な調査対象に設定し、必要に応じてワーキンググループを設置して耐震補強の効果などを分析する方針だ。8月31日に有識者委員会の初会合を開き、今後の検討事項を確認しており、年度末までに検討結果を取りまとめ、講ずるべき対策の方向性を定めることにした=写真。
有識者委員会では、国総研や建築研究所が実施している構造被害に関する調査に加え、他機関の調査結果や関連データを幅広く収集・整理して構造被害の原因を分析する。
低層木造建築物については、日本建築学会の調査と連携しながら、新旧耐震基準別で被害に違いがあるか調べる。認定長期優良住宅や住宅性能表示制度で耐震等級2か3を取得した住宅の耐震性も確認する。
煙突は、倒壊した日本製紙八代工場の煙突などを調査する。国交省が倒壊煙突と類似した煙突を対象に築造時期や損傷・劣化の状況、過去の補修履歴を調査していることから、その調査結果も踏まえて対策の方針を検討する。
免震建築物の調査は八代市役所の免震装置損傷などを対象とする。天井や建築設備などの非構造部材の被害分析も進める。
会合ではこのほか、国総研と建研が実施した被害調査報告の速報が報告された。熊本県宇城市、八代市、氷川町で行った現地調査では、築年数が45年超と推定される木造住宅や納屋などの倒壊を確認。一方、築年数が比較的浅いとされる建物の多くは外観上で大きな被害は見られなかった。
八代市役所の免震装置に関しては、発災時に想定している免震クリアランス(周囲構造物との水平距離)を超えた挙動が見られ、支承材の破断などの損傷があった。ただ、上部構造に大きな被害がなかったため、免震構造としては問題のない挙動だったとした。
金子恭之国交相は1日の閣議後会見で、煙突の倒壊被害について「まずは有識者委員会で対策の方向性について議論していただき、その結果も踏まえ、必要に応じて法規制を含め具体的な再発防止策を検討していく」と述べた。
