土木分野の最新技術を集めた「土研新技術ショーケース2026in東京」が8日、東京都千代田区の一橋講堂で開かれた。会場にはインフラ管理や防災の課題に挑む建設テック企業が参集し、デジタルやゲームの力を借りたユニークなサービスが来場者の目を引いた。
政府のスタートアップ(新興企業)支援プログラム「SBIR」の成果を紹介するブースの一角。東京大学発ベンチャーのベイシスコンサルティング(東京都文京区、石川雄章代表取締役)の担当者がスマートフォンを会場に向けた。
専用アプリの画面に、ものの数秒で3次元データが現れた。画面隅の撮影ボタンを押すと、拡張し続ける立体マップにピンが立つ。撮影箇所を示すもので、ピンに触れると写真が表示される仕組みだ。
作業が終わると、そのデータ一式はクラウドで共有され、専用のプラットフォームに格納される。実際のケースでは、連携する北海道大学の画像診断システムを通じて、劣化状態の所見まで、あっという間に出来上がるという。
「面倒な写真整理がその場で完結するシステムだ」 とメリットを強調したのは西垣達也シニアマネージャーだ。展示したサービス 「サポ楽」は、 自治体職員が自ら点検する直営点検を支援するサービスとなる。 財政難などから年々、 小規模な橋梁点検などの実施が増えているそうで、 「4月に試験販売を始めた。 自治体を応援したい」と語った。
ボタン一つで国土交通省の指定点検様式のエクセルデータにも変換できる。報告が義務化された同省の道路データベース「xROAD(クロスロード)」とも連携しており、ワンクリックで報告が完了する。
会場の奥では、スーツ姿の来場者がゲーム用のコントローラーを握りしめ、「面白い!」と声を弾ませていた。
Crackin(東京都武蔵野市)が展示していたのは、開発中の道路啓開シミュレーションゲーム『URGENT(アージェント)』だ。日本語に訳せば「緊急」を意味する。
ゲーム内では、近年、道路啓開での機動力に注目が集まるスイス製の特殊重機「スパイダー」を操り、災害現場ステージでの道路啓開に挑む。実際のオペレーターの訓練メニューを模した「チュートリアル」で基本の動きを学び、「ストーリー」を進める仕組みだ。画面の随所には誘導マークが表示され、ゲーム開発で培った丁寧な教育ステップが光る。
開発担当のルイ・テイシェイラ氏によると、ソフトは有事の際の現場アプローチの手順を学ぶものという。「スパイダーなら川の中や、普通の重機では入れない場所にも進める。これからステージをどんどん増やしていく」
今後は、ホイールローダーなど複数の重機も操作できるようにし、2028年3月の発表を目指す。
同イベントは土木研究所(藤田光一理事長)が主催。02年に始めた取り組みで、地方開催も含めて年に2、3回ほど催している。今回は、講演会のウェブ聴講も含め、単日開催で3000人以上が参加した。
