【民間強化し“100年間の仕事”】
DNホールディングスの社長に就いた吉村実義氏は、「グループ全体のガバナンス強化」を使命と位置付け、先頭に立って取り組むと姿勢を示す。一方、営業面では受注環境のリスクを分散させるために、「民間発注者からの受注を強化していく」とし、“100年間の仕事”を手にしたい考えだ。2027年6月期からの「中期経営計画2029」では、民間防災・インフラ維持管理と民間建設支援を新規事業として掲げ、今後、これらをどのように展開していくのか吉村社長に聞いた。
--就任の抱負は
「リスクを回避・分散する意味で民間発注者からの受注を強化していく。現状は受注高の30%弱だが、これを近い将来40%まで引き上げたい。橋梁や道路の社会インフラの点検や診断などの構造保全事業といった従来のコア事業に加えて、原子力発電所やその関連施設、石油やガスの地下備蓄関連事業にも力を入れていく」
「私はこれらの事業を手掛ける部署に40年以上いた。長く民間業務に携わってきたこともあり、受注強化を進めていきたい。民間受注を伸ばすことで、公共事業が落ち込んだ際のカバーにつなげられると考えている」
--注力する分野は
「25年2月に国が第7次エネルギー基本計画を策定した。原子力発電所や核燃料サイクル関連施設を推進する方向性が盛り込まれている。高レベル放射性廃棄物の地層処分に関連する文献調査が行われているところだが、地層処分は100年プロジェクトだ。文献調査で4、5年、概要調査が10年前後、生物調査も20年程度かかる。その後、施工として処分場の掘削が60-70年といわれている。ここに参入していきたい」
「当社は1970年代から、原子力関連の仕事に継続して取り組んでいる。これを本格化し、“100年間の仕事”を確保できるコア事業にしていきたい」
--海外事業について
「大日本ダイヤコンサルタントの海外事業部には、フィリピンのマニラに事務所を構えているが、今後現地でさらに受注するためには、現地法人化をする必要があると考えている。現状は、現地企業の協力という形で携わることが多いため、今後は現地法人化によって自社で仕事を受注し、フィリピン国内の仕事をメインにしていきたい。仕事の幅や受注環境の拡大に向けて、M&A(企業の合併・買収)も含めて検討中だ」
--組織体制は
「7月から支社単位ではなく、全国単位での業務受注の最適化を図った。支社の受注が旺盛で仕事を引き受けられないということがないように、4分野の事業部制を敷いた。橋梁・社会創造・国土保全・エネルギーの各分野の事業部が全国ネットワークで横に広がっているイメージだ」
「同時に、M&Aの専門部署も大日本ダイヤコンサルタントに設置した。立案から実行、その後の統合プログラムまで対応する部署で、私鉄や工場といった民間施設の包括管理など当社がまだ足を踏み入れていない領域のノウハウを持つ企業との連携を模索している」
* *
(よしむら・みよし)1982年3月千葉大理学部卒後、同年4月ダイヤコンサルタント(現大日本ダイヤコンサルタント)入社。2013年4月執行役員ジオエンジニアリング事業本部地圏環境事業部長、20年4月取締役、21年7月DNホールディングス取締役常勤監査等委員などを経て、26年9月から現職。千葉県出身。57年9月29日生まれ、69歳。
◆記者の目
「依頼された業務を期限より前に提出し、相手を待たせないことを自身の仕事の基本姿勢としている」と語るその口調からは、民間受注の強化をできるだけ早期に達成したいという意思を感じる。一方で、海での素潜りや農園での野菜づくりといったアウトドアが趣味。キャンピングカーでの日本一周もいつか実現したいと胸に秘める。
