日刊建設通信新聞社は、建設コンサルタント業務の売上高上位50社程度を対象に、2025年度のプロポーザル方式の特定状況、運用上の問題点やその改善点などをアンケートし、36社から回答を得た。このうち、プロポーザル方式で参加実績ゼロの1社を除く35社の集計値を見ると、特定件数、金額がともに前年度を下回った。特定件数を参加件数(提案書提出)で割った特定率は、全社平均で41.8%と3.6ポイント低下したものの、19年度以来、4割台の水準を維持している。
25年度の参加件数は5.6%増の9071件、特定件数は2.9%減の3789件だった。12社が前年度より特定率を高め、そのうち2桁増となったのはオオバ、東京設計事務所、協和コンサルタンツの3社。特定率が4割を超えた企業は20社で、このうち5割超は10社だった。
金額は3.0%減の1375億3000万円となった中で、16社が前年度を上回った。NJSが10億円以上増加し、28億8200万円を確保した。前年度比で50%以上伸びたのは、NJS、福山コンサルタント、オオバ、川崎地質の4社だった。
特定率向上に向けた各社の取り組みでは、提出する技術提案書の「質」を組織全体で高めるための工夫がうかがえた。例えば、「営業部門などを含めた複数人でのチェック体制の徹底」「面談・ヒアリングに向けて、事前に模擬ヒアリングや勉強会を行う」などの取り組みが実施されている。また、「厳選応募をする」「基礎点向上のため、業務の成果品質の向上や表彰獲得、資格取得推進に注力する」との意見も聞かれた。
特定率を向上させるためにAI(人工知能)を活用する動きも目立つ。「AIを活用した閲覧資料の読み込みによる記載キーワード漏れの回避」「提案書査読に関するAI活用と複数人での査読対応を組み合わせる」「提案書作成にAIの活用を進めている」「AIによるデータ分析と骨子作成サポートによる作成時間の短縮」という意見が寄せられた。発注者ニーズの正確な分析や作成時間の短縮などの目的でAIを実務に組み込む傾向が見て取れたほか、過去の特定案件をデータベース化して業務を効率化する動きもあった。
発注者側の運用については、手続きの効率化を歓迎する声が多かった一方で、発注者ごとの「運用のバラツキ」を問題視する意見も見られる。例えば、「地方整備局によって、評価基準や平均点・表彰ボーダーラインに差異が生じている」「プロポーザル方式の採用基準にも整備局ごとに違いがあり、同様の業務内容でも総合評価とプロポーザルが混在しているため、国の基準を一本化してほしい」との意見が出た。
また、地方自治体では、国に比べて導入事例が少なく、総合評価方式との運用が曖昧である点も指摘。プロポーザルでありながら価格点の評価ウェイトが高いケースがあるなど、適切な発注方式の採用やルールの明確化を求める声も目立った。
改善点や発注者への要望として、特に多くの企業から共通して挙げられたのは「詳細な評価結果の迅速な公表」と「スケジュール(締切日)の適正化」だ。今後の提案力向上のため、契約後ではなく特定後、速やかに評価項目ごとの詳細な評点を公表してほしいという要望が最多となった。事務所での直接閲覧ではなく入札情報サービス(PPI)などでのオンライン公表を求める声や、会社名をマスキングせずに開示することを求める意見があった。
また、休日出勤の抑制やワーク・ライフ・バランスの観点から、提出期限を「月曜日」に設定することを避けることや、締め切り曜日を分散させてほしいという要望も示された。タイトなスケジュールを避け、公示から提出までに十分な作成期間を確保することを求める声も根強かった。
