【関東地方整備局常陸河川国道事務所/R7那珂川右岸吉沼町地区築堤工事/菅原建設/知識や経験重ねて自身も成長】
栃木県那須岳を源に茨城県から太平洋へ注ぐ1級河川・那珂川。常陸河川国道事務所が推進する「那珂川緊急治水対策プロジェクト」は、2019年東日本台風による甚大な被害を踏まえて、洪水処理能力を向上させることで、決壊や越水、堤防のない箇所への浸水を防ぐことを目指す。水戸出張所管内では、吉沼地区(水戸市)をはじめ、中・下流部の堤防整備や渡里地区(同)での河道掘削などが着実に進む。プロジェクトの全体進捗(しんちょく)は、8月末時点で堤防工事が84%、河道掘削で85%に達している。
野宮満水戸出張所長は「プロジェクトも終盤に差し掛かり、施工条件が厳しい点在的な現場が多くなる。発注者として受注者のスムーズな施工の“お膳立て”をすることが何より大切だ」と語る。
洪水から地域を守るための堤防整備を行う「R7那珂川右岸吉沼町地区築堤工事」は菅原建設(水戸市)が担当する。笹沼凱人現場代理人は、「一部が軟弱地盤となっており、急速な盛り土を行うと沈下による大きな影響が出てしまう」と工事の留意点を説明する。そこで、10日に1層(30cm)ずつ盛り土を重ねることで、地盤の挙動を計測しながら実施する観測施工を実施。現在は全14層のうち10層目までが完了した。
作業の効率化には、盛り土工と並行して進められる他工種と緻密に工程を組み合わせた複層的な作業管理を徹底している。土工事ではICT施工も積極的に取り入れている。ICT建機を活用した重機オペレーター中心の少人数施工を実現し、効率化と高精度な品質確保を両立している。さらに、同社は1工事に2-3人以上の技術者を配置する複数人体制を敷くことで点在する工区への柔軟な対応や業務の分業化を進めている。
笹沼現場代理人は入社11年目。「現場代理人として比較的大規模な現場を担当するようになったのはここ数年のこと」としながらも「仕事を背負う責任感が強くなり、それがモチベーションにもつながっている」と話す。
建設業の魅力を「自然災害や事故の危険と隣り合わせの仕事だからこそ、工事を無事故・無災害でやり遂げたときの達成感と完成したものがインフラとして未来に残り続けること」と端的に示す。野宮所長も「デスクワークでは得られない、風を感じながら仕事ができるのは現場に立つからこそ」とうなずく。
仕事を進める上では、「発注者や地域住民、協力会社とのコミュニケーションが欠かせない」としながら「もともと人と話すことが得意だったわけではなく、学生時代には『近寄りがたい』と言われることもあった」と振り返る。それでも「知識や経験を重ねたことで話す機会や内容が増え、自分自身の成長を実感することも増えた」と話す。そうした自身の経験を踏まえて後進には「コミュニケーションもそうだが、最初から得意である必要はない」とエールを送る。
