
11月2日、防災庁が発足する。南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に平時から万全に備えるため、内閣府防災担当を発展的に改組する。災害対応の〝司令塔〟として、全省庁の防災政策を俯瞰(ふかん)し調整する役目を担い、徹底した事前防災に取り組む。細野豪志防災庁設置準備担当相は10月30日の閣議後会見で「防災庁の役割は、国民の生命、身体、財産を守ること。これまでの内閣府防災担当とはレベルの違う大きな役割を担っていかなければならない。国難級の災害でも国がしっかりと役割を果たし、国民を守るという強い決意を持って取り組む」と力を込めた。
これまで防災分野を担当していた内閣府防災担当は人員不足が悩みの種だった。災害が発生した際は施策の企画立案業務を中断せざるを得ない状態となっていた。25年度には110人だった定員を250人に増員しているが、防災庁では352人とさらに増やし企画立案機能を高める。
防災施策は、各府省庁が所管業務に関連した施策を展開しているが、それらの施策全体を俯瞰する組織がなく、縦割りの状態であることも課題だ。
防災庁には尊重義務を伴う各府省庁への勧告権を付与。司令塔としての役割を担う。防災庁設置の有識者会議で主査を務めた福和伸夫名大名誉教授は、10月21日の会議後の会見で「それぞれの組織が持っている力を平時から蓄えさせ、それぞれの状況に応じて臨機応変に最高の動き方ができるようにする調整力が防災庁に必要だ」と指摘している。
防災庁の業務のうち、大きな施策の一つが大規模災害に対する事前防災の推進となる。各災害基本計画に盛り込んだ減災目標の達成に向け、進捗(しんちょく)状況の把握とフォローアップをしながら各施策を着実に推進する。地域レベルで具体的なシミュレーションに基づく定量的弱部分析も推進し、その分析を踏まえて実効性の高い計画の企画・立案を促す。
発災時には、法定化した復旧復興本部の運営体制を整備することで、被災自治体の復旧・復興状況をフォローアップしつつ、ワンストップ窓口としてニーズを一元的に把握し、関係省庁との総合調整を担う。
発足に当たり「防」の字を基にしたロゴマークを作成。上向きの矢印のように見せることで、防災を通して明るい未来へ向かうイメージを示した。
発足日の2日には、国民に対し自助による防災を促す緊急要請を発出する予定だ。要請の中で、関係省庁に対しても事業継続計画(BCP)について、省庁や関係団体などの取り組み状況を確認するよう呼び掛ける。

