大成建設は8日、東洋建設を買収すると発表した。TOB(株式公開買い付け)などを行い、全株式の取得を目指す。買い付け価格は1株1750円。TOBなどによる買収総額は約1600億円を見込む。TOBは12日から9月24日まで実施する。東洋建設はTOBに賛同を表明しており、全ての手続きは12月末に完了する見通し。両社が持つ技術や強みを生かし、事業規模拡大、収益力の強化を図る。
8日夜、東京都内で記者会見した大成建設の田中茂義代表取締役会長は、今回の買収について、「国内土木と建築、海外、洋上風力、デジタル化・教育システムの各領域でシナジーが期待できる」と説明。その上で「(売上高が)4兆円規模の企業を目指しており、そのためにはビジネスモデルを変えていく必要がある。交通系やエネルギー系のコンセッション(運営権付与)などにも取り組んでいきたい」と述べた。
一方、東洋建設の吉田真也代表取締役会長兼執行役員CEOは「大成建設グループへの参画は事業のシナジーが非常に大きい。特に大成建設の陸上土木および建築分野の技術の強みと、当社の海上工事および建築分野の技術の強みを相互に生かして幅広い連携が可能になる」と語り、TOBに賛同した意義を強調した。
東洋建設の筆頭株主は、3割近くを保有する任天堂創業家の資産運用会社であるヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)系列の投資ファンド。次いで、東洋建設を持ち分法適用関連会社としている前田建設工業が約2割を保有している。