【機構改革の狙いは?/全社的視点で持続的成長】
西松建設は4月1日付で機構改革を実施する。最大のポイントは、コーポレート部門と事業部門の二部門体制への移行だ。常務執行役員経営戦略室長兼人財戦略室副室長として機構改革に携わった渋井修氏は、「コーポレート部門の役割を明確化し、強化することにより、企業戦略と事業戦略が相互に補完し合い、全社的な視点から持続的な成長と企業価値の向上に向けた議論ができる体制を作りたかった」と語る。狙いを聞いた。 新設するコーポレート部門には、▽経営戦略▽人財戦略▽技術戦略▽管理統括--の4室を配置する。管理統括室を率いる渋井氏は、「当社はこれまで強力な事業運営を展開してきたが、企業戦略が事業戦略に十分に反映されていない課題があった」と機構改革の背景を説明する。
改革を実現する上で、「『なぜそのようなことをするのか』や『それを実行することで何が変わるのか』を全員が理解し、認識を持つことが重要だ」と強調する。
40歳以下の社員が過半数を占め、組織の若返りが進む中、経営陣と職員が不断のコミュニケーションを通し、意識改革を図る重要性を説く。「若手の感覚を柔軟に取り入れ、新たな企業風土を築くことが不可欠だ」と加える。
持続的成長の鍵を握るのは、職員のエンゲージメント向上だと断言する。「やりがいのある仕事を提供することが、改革を進める上で欠かせない要素になる」と述べる。
機構改革に伴い、職員のキャリア形成の在り方も変化する。現場にある課題をスピード感を持って企業戦略に反映するため、「大胆な人事異動を実施し、社内ローテーションを活性化する。経営人材やプロフェッショナル人材のさらなる育成を図る」と力を込める。
一方で、社会課題の複雑化や価値観の多様化が進む中、企業の未来について、「単に工事をするだけでなく、お客様や地域社会にどのように活用してもらうかまでを考えることが、新たな企業の役割になるだろう」と論じる。
「自社だけですべてを完結させることには限界がある。だからこそ、資本関係も含めた強固なパートナーシップの構築が不可欠だ」とし、積極的なM&A(企業の合併・買収)にも意欲を示す。
細川雅一社長が掲げる『魅力あるゼネコンNo.1』の実現に向け、人的資本、構造資本(バリューチェーン)、そして関係資本(パートナーシップ)を強化し、企業成長を加速させる。
「規模の追求だけではなく、“キラリと光る”会社にしたい」と自身の思いを明かす。「その核となるのは人材と技術だ」とし、将来のリスクや景気の変動にも左右されない、強靭な組織づくりに全力を注ぐ。
* *
(しぶい・おさむ)1985年3月新潟大教育学部卒後、同年4月西松建設入社。2010年4月経営企画室長、12年4月経営企画部長、13年4月人事部長、15年4月執行役員社長室長、20年4月常務執行役員社長室長、23年4月常務執行役員経営戦略室長兼人財戦略室副室長を経て4月1日付で専務執行役員管理統括室長に就任予定。
大きな責任を伴う仕事を任された時に、「地域やお客様、世の中のために一生懸命に働く職員が多いことに誇りを持ち、会社を後世につなげていく使命を感じた」と振り返る。趣味は秘湯巡り。座右の銘は『疑行は名なく、疑事は功なし』。埼玉県出身。61年7月13日生まれ、63歳。
西松建設は4月1日付で機構改革を実施する。最大のポイントは、コーポレート部門と事業部門の二部門体制への移行だ。常務執行役員経営戦略室長兼人財戦略室副室長として機構改革に携わった渋井修氏は、「コーポレート部門の役割を明確化し、強化することにより、企業戦略と事業戦略が相互に補完し合い、全社的な視点から持続的な成長と企業価値の向上に向けた議論ができる体制を作りたかった」と語る。狙いを聞いた。 新設するコーポレート部門には、▽経営戦略▽人財戦略▽技術戦略▽管理統括--の4室を配置する。管理統括室を率いる渋井氏は、「当社はこれまで強力な事業運営を展開してきたが、企業戦略が事業戦略に十分に反映されていない課題があった」と機構改革の背景を説明する。
改革を実現する上で、「『なぜそのようなことをするのか』や『それを実行することで何が変わるのか』を全員が理解し、認識を持つことが重要だ」と強調する。
40歳以下の社員が過半数を占め、組織の若返りが進む中、経営陣と職員が不断のコミュニケーションを通し、意識改革を図る重要性を説く。「若手の感覚を柔軟に取り入れ、新たな企業風土を築くことが不可欠だ」と加える。
持続的成長の鍵を握るのは、職員のエンゲージメント向上だと断言する。「やりがいのある仕事を提供することが、改革を進める上で欠かせない要素になる」と述べる。
機構改革に伴い、職員のキャリア形成の在り方も変化する。現場にある課題をスピード感を持って企業戦略に反映するため、「大胆な人事異動を実施し、社内ローテーションを活性化する。経営人材やプロフェッショナル人材のさらなる育成を図る」と力を込める。
一方で、社会課題の複雑化や価値観の多様化が進む中、企業の未来について、「単に工事をするだけでなく、お客様や地域社会にどのように活用してもらうかまでを考えることが、新たな企業の役割になるだろう」と論じる。
「自社だけですべてを完結させることには限界がある。だからこそ、資本関係も含めた強固なパートナーシップの構築が不可欠だ」とし、積極的なM&A(企業の合併・買収)にも意欲を示す。
細川雅一社長が掲げる『魅力あるゼネコンNo.1』の実現に向け、人的資本、構造資本(バリューチェーン)、そして関係資本(パートナーシップ)を強化し、企業成長を加速させる。
「規模の追求だけではなく、“キラリと光る”会社にしたい」と自身の思いを明かす。「その核となるのは人材と技術だ」とし、将来のリスクや景気の変動にも左右されない、強靭な組織づくりに全力を注ぐ。
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(しぶい・おさむ)1985年3月新潟大教育学部卒後、同年4月西松建設入社。2010年4月経営企画室長、12年4月経営企画部長、13年4月人事部長、15年4月執行役員社長室長、20年4月常務執行役員社長室長、23年4月常務執行役員経営戦略室長兼人財戦略室副室長を経て4月1日付で専務執行役員管理統括室長に就任予定。
大きな責任を伴う仕事を任された時に、「地域やお客様、世の中のために一生懸命に働く職員が多いことに誇りを持ち、会社を後世につなげていく使命を感じた」と振り返る。趣味は秘湯巡り。座右の銘は『疑行は名なく、疑事は功なし』。埼玉県出身。61年7月13日生まれ、63歳。