来春2026年3月に卒業予定の大学3年生・院生向けの採用広報活動が1日、政府ルール上で解禁した。活動のスタートに合わせ、同日には全国各地で合同企業説明会が開かれた。学生優位の売り手市場から採用活動は早期化しており、既に内定を得ている学生が5割近くに上るという調査結果もある。人手不足が深刻化する建設業は、この波にどう向き合うか。他業界に競り勝つための採用戦略が問われている。 就職情報大手のマイナビは1日、約5700社150業種が出展する国内最大規模の新卒向け合同会社説明会「就職EXPO」の開催を始めた。初日のメイン会場となった千葉市の幕張メッセには約160社が出展。会場には短日で1200人を超える学生が詰めかけた。
午前11時の開始と同時に、あちらこちらのブースから「おはようございます」との声が響き始めた。参加企業は学生をわれ先に引き込もうと、通路に出て必死に声をかけ始めた。
「ここからが勝負。今年の目標は10人だ」と語るのは、千葉県内で建設重機のレンタル業を営む新光重機、営業部の清宮一記さん。業界のお堅い印象を払拭するため、内装用の掲示から漢字を削除、すべてローマ字表記に書き換えた。目を引く黄色のフリップには「タイパ抜群! 15分説明会」と掲示。説明時間を事前案内して呼び込む戦略で「まずは知ってもらうところから」と気合を込めた。
幕張会場から都心へ約1時間半。東京都渋谷区の会場では、建設系の就職を目指す学生向けに「マイナビ就職EXPO建築土木」が開催され、36社が出展した。入り口すぐにブースを構えたオリエンタル白石は、総務人事部長みずからが通路でPR。板橋修部長は「学生が立ち寄ったタイミングで一人ひとり、車座で話している。あえて時間で区切る講義形式を取らなかった。せっかくの縁、学生の貴重な時間を大切にしたい」と説明した。
採用活動が熾烈(しれつ)を極める中、就活市場にも変化が現れはじめている。マイナビと双璧を成すリクルートはコロナ禍の20年以降、新卒向けの合同会社説明会のオンライン化を進めた。23年春以降は現地開催を行っておらず、全てウェブ開催に切り替えた。担当者によれば、学生だけでなく企業の負担も軽減され、メリットは大きいという。働き方改革も相まって、こうした動きが加速する可能性も考えられる。
一方、学生の情報収集手段も多様化している。渋谷会場に訪れた工学部3年の女子学生は、写真などを投稿するSNS(交流サイト)のインスタグラムも使っているという。「空間デザインに興味があって写真を見ていたら、似たような投稿がよく表示されるようになり、最終的に企業にたどり着いた」と明かした。とはいえ「直接話を聞くのが一番だ」と考えて現地に足を運んだ。「雰囲気、人の感じも伝わり、質問がしやすかった」とも。
高橋誠人マイナビ編集長によれば、「以前は“ふるいにかけること”が採用活動だったが、今は、接点があった学生の志望意欲を高めることがトレンドだ。ここに気付けない企業は、採用が難しくなってくる」と説明した。建設業に向けては「(作業現場には)普段の生活では入らない。仮囲いで覆われ、中が見えない不安感をもたれているかもしれない。ビルを建てる、トンネルを掘るというイメージが先行する中、学生が認知しやすい形で、やりがいを伝える必要がある」と話した。
午前11時の開始と同時に、あちらこちらのブースから「おはようございます」との声が響き始めた。参加企業は学生をわれ先に引き込もうと、通路に出て必死に声をかけ始めた。
「ここからが勝負。今年の目標は10人だ」と語るのは、千葉県内で建設重機のレンタル業を営む新光重機、営業部の清宮一記さん。業界のお堅い印象を払拭するため、内装用の掲示から漢字を削除、すべてローマ字表記に書き換えた。目を引く黄色のフリップには「タイパ抜群! 15分説明会」と掲示。説明時間を事前案内して呼び込む戦略で「まずは知ってもらうところから」と気合を込めた。
幕張会場から都心へ約1時間半。東京都渋谷区の会場では、建設系の就職を目指す学生向けに「マイナビ就職EXPO建築土木」が開催され、36社が出展した。入り口すぐにブースを構えたオリエンタル白石は、総務人事部長みずからが通路でPR。板橋修部長は「学生が立ち寄ったタイミングで一人ひとり、車座で話している。あえて時間で区切る講義形式を取らなかった。せっかくの縁、学生の貴重な時間を大切にしたい」と説明した。
採用活動が熾烈(しれつ)を極める中、就活市場にも変化が現れはじめている。マイナビと双璧を成すリクルートはコロナ禍の20年以降、新卒向けの合同会社説明会のオンライン化を進めた。23年春以降は現地開催を行っておらず、全てウェブ開催に切り替えた。担当者によれば、学生だけでなく企業の負担も軽減され、メリットは大きいという。働き方改革も相まって、こうした動きが加速する可能性も考えられる。
一方、学生の情報収集手段も多様化している。渋谷会場に訪れた工学部3年の女子学生は、写真などを投稿するSNS(交流サイト)のインスタグラムも使っているという。「空間デザインに興味があって写真を見ていたら、似たような投稿がよく表示されるようになり、最終的に企業にたどり着いた」と明かした。とはいえ「直接話を聞くのが一番だ」と考えて現地に足を運んだ。「雰囲気、人の感じも伝わり、質問がしやすかった」とも。
高橋誠人マイナビ編集長によれば、「以前は“ふるいにかけること”が採用活動だったが、今は、接点があった学生の志望意欲を高めることがトレンドだ。ここに気付けない企業は、採用が難しくなってくる」と説明した。建設業に向けては「(作業現場には)普段の生活では入らない。仮囲いで覆われ、中が見えない不安感をもたれているかもしれない。ビルを建てる、トンネルを掘るというイメージが先行する中、学生が認知しやすい形で、やりがいを伝える必要がある」と話した。