最新技術をどう組み込むか/鍵はDX人材/NexTech Week | 建設通信新聞Digital

5月1日 木曜日

企業

最新技術をどう組み込むか/鍵はDX人材/NexTech Week

デジタルリテラシー協議会の角田さん
ベネッセの志村さん(右)と早川さん
パーソルイノベーションの嶋田さん
菱洋エレクトロの中西さん
 多くの企業が人材確保に苦戦し、AI(人工知能)やブロックチェーンなどの最新技術に活路を見いだす動きが広まっている。こうしたニーズに合わせ、東京都江東区の東京ビッグサイトで3日間開かれた展示会「NexTech Week2025【春】」には、デジタルサービス、DX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた人材リスキリングサービスを展開する企業など約300社が出展した。会期中には約2万8000人が来場し、会場は熱気に包まれた。 「AIを駆使して、データを分析し、ビジネスにどう適応していくか。この素養は、これからのビジネスパーソンに必須となる」と語るのは、デジタルリテラシー協議会の角田千晴さん。同協議会は「ITパスポート試験」「G検定」「データサイエンティスト検定」を主催する各団体の連携組織だ。有資格者を増やそうと、合格者にデジタル認証バッジなどを発行している。「建設業でも、既に設計分野などでAIが導入されていると聞く。今後のデジタル時代に向けて、まずはこの三つから学びをスタートしてほしい」と話す。
 技術革新に伴ってビジネスの変化も早くなっている。この流れに、学卒後も学び続ける生涯学習サービスで事業展開を進めるのが、通信教育大手のベネッセコーポレーションだ。今回はオンライン学習プラットフォームの「Udemy(ユーデミー)」を紹介した。
 ユーデミーは米国発の動画教育サービスで、ベネッセコーポレーションは2015年から日本での独占代理販売をスタート。20年には事業会社への出資も行った。サービスの強みは「情報鮮度の高さ」と話すのは同社社会人事業本部の志村愛さん。コースを作り、講師を立ててなどといった従来型の教育コンテンツとは違うという。
 「AI開発などの現場で活躍している人が、時々のホットな話題を語っている。時代に合ったものを早いスパンで出していることが特長だ。コンテンツの多くは英語だが、日本語字幕が付いているものもたくさんある。日本語の動画も既に数千本あり、日々増えている」とPRした。
 人材大手も変化の激しい時代をチャンスと捉えている。パーソルグループで新規ビジネスなどを手掛けるパーソルイノベーションもその1社だ。ブースでは、社内版の転職・副業公募プラットフォーム「キャリアサークル by lotsful」に注目が集まった。部署やグループが求人票を作り、それを社内で公募できる。定期的な異動辞令による一方通行の人事制度に一石を当じるサービスだ。開発プロジェクトを担当した嶋田拓哉さんは「人材が社内で流動化するメリットは大きい」と話す。
 「手を上げるのは、自立的なキャリアを歩もうという思いの表れだ。抜けられた部署は一時的に大変になるが、手を上げる人は、その機会がなければ、外にチャレンジを求めただろう。個人が生き生きとキャリアを歩める制度を設け、人材をグループ内にとどめることが大切だ」と説く。「企業側が人を使うという発想を変える。一人ひとりがキャリアに当事者意識を持つべきだ。そうした思いを持てるような環境をつくっていきたい」と力を込める。
 会場には新時代を象徴するAI、それをインフラ面で支える半導体産業も出展した。商社としてネットワーク製品などを扱う菱洋エレクトロ(東京都中央区、中村守孝社長)は、米エヌビディアの最新・最上級モデルのGPUサーバー「DGX-B200」を展示した。計算能力は世界最速レベルを誇る。
 「ただ、課題もある」と指摘するのは、菱洋エレクトロ営業統括本部の中西和也さん。例に挙げるのがデータセンターの冷却設備だ。「GPUの性能が上がり、従来の空冷式では冷やし切れなくなっている。トレンドは水冷式に移りつつあるが、既存施設で水冷式はほとんどない。こうしたニーズが建設・設備需要につながる」と説明する。