生成AIと3Dモデル、可能性と知られざる壁/ACIMUS | 建設通信新聞Digital

5月8日 木曜日

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生成AIと3Dモデル、可能性と知られざる壁/ACIMUS

ACIMUSのBIMデータから   パース画像を生成する機能を実装予定
パースの基となったACIMUSのBIMデータ
 ACIMUS(アキムス、東京都千代田区、菊池光貴代表取締役)は、生成AI(人工知能)を活用して3Dモデル上で建築設計を支援するウェブアプリケーションを開発し、5月に正式版をリリースする予定だ。ツールを開発する立場から、生成AIと建築3Dモデルに関して、可能性と現状のハードルについて聞いた。
 菊池氏は約10年前に大学で意匠設計を学んでいた頃、AIに関心を持ち、独学を開始。ソフトウエア開発会社勤務などを経て2024年9月にACIMUSを設立した。
 アプリが力を発揮する場面は建築物の企画・設計の初期段階だ。建築モデルLOD(モデル詳細度)200-300程度の3Dモデルを生成AIの支援で制作する機能や、そのモデルからパース画像を生成する機能などを搭載。「早く手軽に3Dモデルや画像を作れることを重視した。これにより施主に視覚的な提案をフレキシブルにしやすくなる」と強みを説明する。さらに簡易積算などの追加機能を準備している。
 LOD400以上の詳細なモデルを作る場合、同アプリで作ったモデルをエクスポートして他のBIMソフトに読み込ませデータを作り込むという使い分けを想定する。
 チャット形式での操作が可能なことなど、設計や3Dモデルに不慣れなユーザーも扱いやすい仕様を生成AIによって実現した。制作中のモデルが建築基準法などの法令に従っているかリアルタイムでチェックする機能も実装予定だ。法令のほか、ユーザー企業内の固有の規定もアプリに追加できる。これらを生かし、新人や学生への教育支援の需要も狙う。
 正式版の利用料は1アカウント当たり月額1万-1万5000円程度を想定。アプリ内で建材メーカーの実製品3Dモデルなどを提供することによるスポンサー収入も収益源とする。
 一方、設計と生成AIについて「2Dの図面を3Dモデル化する機能は、早期実現を期待する声をよく聞く。しかし、あまり知られていないがハードルが高い」とも。「AIに図面の線を認識させても、線が壁を意味するのか、あるいは柱を意味するのか、という判別がAIには困難」と技術的な障壁を指摘する。同社は2Dの図面の3Dモデル化をオプションサービスとして提供予定だが、こちらではオペレーターが主となって3Dモデルを制作する。