【経営基盤と技術で生き残る】
鹿島道路の新社長に4月1日付で小土井満治氏が就任した。中長期的な道路舗装市場を見据え、「経営基盤と技術の両方で生き残る必要がある」と力を込める。シェア拡大や道路事業を中核とした業態の広がり、売上高・利益・受注高の維持向上などを目指す中、「会社の実情と市場を見比べて将来性を打ち出していきたい」と意気込む小土井社長に、今後の方針や企業成長への道筋について聞いた。--就任の抱負を
「喫緊の課題として、合材の不正使用問題からの信頼回復に努める。品質管理に携わる全ての人間が対応し、社長としても方針を強く打ち出す。われわれには合材を製造・提供し、道をつくる使命があるため、合材工場を大切にしなければならない」
「技術開発を加速させるほか、社員がより前向きになれる企業風土を構築したい。やりがいや前向きさが、会社全体で育まれるような体制を整える仕組みをつくり、明るくてポジティブな組織にしていく」
--市場環境をどう見る
「全体の建設投資額は国土強靱化もあり、急激に減少することはないと見ているが、合材の出荷量は減っている。中長期的な伸びが期待できず競争が厳しくなる中で、生産性向上や機械化、CO2削減、再生材の利用率の向上など、時代のニーズに合った技術開発に取り組む。人材を確保し、業界に魅力を感じてもらうことで流出も抑える」
「新領域の拡大については、全社を挙げて、知恵や意見を吸い上げていく。道路舗装や建設事業をベースに、着実に広げていきたい」
--注力分野は
「足元では、合材の製造部門を、量から質への経営モデルに転換した。各工場で固定費や変動費を総合的に評価し、適正な価格で合材を販売する。工事部門は、繰越工事高の施工だけでなく、今期で受注し、売り上げる工事にも注力していく必要がある」
「中長期的な目線では、地方での投資を見定め、変化に追随していく。さらに長期的には、外部環境に合わせた対応が求められる。例えば人口減少により地方の事業が減るのであれば、国土交通省やNEXCOが発注する工事に今まで以上に注力し、積極的に受注していく。また、道路事業を中核として他に展開できる事業に取り組むほか、施工できる建築分野の拡大も視野に入れる」
「国交省やNEXCOの大規模工事には、支店の垣根を越えて対応する可能性がある。そうした中で、全社的にマンパワーを調整する部分と、地方に根付く部分とのバランスを取っていく。これまで応札に携わってきた経験を生かした提案をしていきたい」
* *
(こどい・みつはる)1983年3月名古屋大大学院工学研究科地盤工学専攻修了後、同年4月鹿島入社。2018年4月執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長、21年4月常務執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長安全担当(土木)、22年7月同土木管理本部副本部長兼馬毛島総合工事事務所長、24年11月同土木管理本部副本部長を経て、25年4月から現職。趣味は旅行、読書、ゴルフ、ハイキング、囲碁。広島県出身。58年12月15日生まれ、66歳。
◆記者の目
一つひとつの質問に、丁寧かつテンポよく、力強く答える姿が印象的だった。これまで、国内外での地下鉄工事をはじめとする都市土木、東京外環自動車道などの現場や、応札などに携わり、現場運営や人員配置などに知恵を出すことで企業成長を実現してきた。自身の経験を生かし、深化させることで、企業のさらなる進化、ひいては道路舗装業界の発展の一端を担うべく、辣腕(らつわん)を振るう。
鹿島道路の新社長に4月1日付で小土井満治氏が就任した。中長期的な道路舗装市場を見据え、「経営基盤と技術の両方で生き残る必要がある」と力を込める。シェア拡大や道路事業を中核とした業態の広がり、売上高・利益・受注高の維持向上などを目指す中、「会社の実情と市場を見比べて将来性を打ち出していきたい」と意気込む小土井社長に、今後の方針や企業成長への道筋について聞いた。--就任の抱負を
「喫緊の課題として、合材の不正使用問題からの信頼回復に努める。品質管理に携わる全ての人間が対応し、社長としても方針を強く打ち出す。われわれには合材を製造・提供し、道をつくる使命があるため、合材工場を大切にしなければならない」
「技術開発を加速させるほか、社員がより前向きになれる企業風土を構築したい。やりがいや前向きさが、会社全体で育まれるような体制を整える仕組みをつくり、明るくてポジティブな組織にしていく」
--市場環境をどう見る
「全体の建設投資額は国土強靱化もあり、急激に減少することはないと見ているが、合材の出荷量は減っている。中長期的な伸びが期待できず競争が厳しくなる中で、生産性向上や機械化、CO2削減、再生材の利用率の向上など、時代のニーズに合った技術開発に取り組む。人材を確保し、業界に魅力を感じてもらうことで流出も抑える」
「新領域の拡大については、全社を挙げて、知恵や意見を吸い上げていく。道路舗装や建設事業をベースに、着実に広げていきたい」
--注力分野は
「足元では、合材の製造部門を、量から質への経営モデルに転換した。各工場で固定費や変動費を総合的に評価し、適正な価格で合材を販売する。工事部門は、繰越工事高の施工だけでなく、今期で受注し、売り上げる工事にも注力していく必要がある」
「中長期的な目線では、地方での投資を見定め、変化に追随していく。さらに長期的には、外部環境に合わせた対応が求められる。例えば人口減少により地方の事業が減るのであれば、国土交通省やNEXCOが発注する工事に今まで以上に注力し、積極的に受注していく。また、道路事業を中核として他に展開できる事業に取り組むほか、施工できる建築分野の拡大も視野に入れる」
「国交省やNEXCOの大規模工事には、支店の垣根を越えて対応する可能性がある。そうした中で、全社的にマンパワーを調整する部分と、地方に根付く部分とのバランスを取っていく。これまで応札に携わってきた経験を生かした提案をしていきたい」
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(こどい・みつはる)1983年3月名古屋大大学院工学研究科地盤工学専攻修了後、同年4月鹿島入社。2018年4月執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長、21年4月常務執行役員土木管理本部プロジェクト推進統括部長安全担当(土木)、22年7月同土木管理本部副本部長兼馬毛島総合工事事務所長、24年11月同土木管理本部副本部長を経て、25年4月から現職。趣味は旅行、読書、ゴルフ、ハイキング、囲碁。広島県出身。58年12月15日生まれ、66歳。
◆記者の目
一つひとつの質問に、丁寧かつテンポよく、力強く答える姿が印象的だった。これまで、国内外での地下鉄工事をはじめとする都市土木、東京外環自動車道などの現場や、応札などに携わり、現場運営や人員配置などに知恵を出すことで企業成長を実現してきた。自身の経験を生かし、深化させることで、企業のさらなる進化、ひいては道路舗装業界の発展の一端を担うべく、辣腕(らつわん)を振るう。