【企業成長に必要な考え方は?/現状維持のバイアスかけない】
鹿島道路の代表取締役副社長兼執行役員副社長に菅原賢司氏が就任した。技術研究所でキャリアをスタートさせ、北海道から沖縄まで全国を渡り歩いてきた。高速道路や工場の外構工事、空港の夜間工事など、さまざまな工種も経験。「後輩たちが壁にぶつかった時に、これまでの経験を踏まえた助言をすることが役目だ」と力を込める。企業成長のためには、「1年前と同じことをせず、現状維持というバイアスにかからない考え方を大切にしている」と表情を引き締める菅原氏に、今後の取り組みなどを聞いた。 道路舗装の市場環境について、「新設から維持、更新する時代になっている」との認識を示す。約50年前に整備されたインフラが多く、トンネルの剥落防止、高速道路会社では橋梁の架け替えなどの需要があることから、「道路舗装業界の仕事はなくならない」と強調した上で、「管路などの上のアスファルト舗装、傷んだ道路の修繕など、道路インフラ更新の需要は多くある」とみる。
道路予算は大きく変わらないが、2020年に約4000万tだったアスファルトの出荷数量が、24年度は3300万tまで落ち込んだ。「それだけアスファルト舗装の需要がない。特に地方では顕著だ」と苦境を訴え、「当社も市場に合わせて経営体制を検討しなければいけない」との認識を示す。プラントについては再編の可能性も指摘し、「三つのプラントを1カ所から遠隔操作する技術の導入など、合理化や人員の再配置、設備投資を検討する」という。
また、「社員の確保が大きな課題」と指摘する。「活躍するシニア層もいるが、それ以上に入職者が少なく、中途採用で補っており、段階的に減少している」と現状を説明する。こうした中で、27年度に始まる育成就労制度による外国人材の活躍に期待を寄せるほか、建設業のイメージアップのためにブランディングにも取り組む。
30年カーボンハーフ、50年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、「積極的に投資しながらCO2の削減に力を入れる」との方針だ。アスファルトプラントでは、加熱時のCO2排出を抑制するため、「フォームド化、機械の燃焼効率の改善などが必要」と指摘。CO2の排出を抑制するだけでなく、吸収する技術も開発するほか、廃油やもみ殻の有効利用なども視野に入れ、CNの取り組みを加速させる。
技術面では、リサイクル技術の確立に着目する。建築の解体から発生するコンクリートがらの利用率を促進するため、全ての材料が副産物の100%リサイクルのコンクリートや安定処理路盤材を開発している。「(リサイクル事業については)M&A(企業の合併・買収)でノウハウを持つ企業と協力することも検討する」と明かす。
* *
(すがはら・けんじ)1980年3月日大理工学部卒後、同年4月鹿島道路入社。2016年4月執行役員東京支店長、18年4月常務執行役員東京支店長、19年4月同生産技術本部副本部長兼技術部兼ICT施工推進室長、21年4月同経営企画部長、22年4月専務執行役員経営企画部長、23年6月取締役兼専務執行役員経営企画部長を経て、4月から現職。30歳の時に初めて主任として従事した沖縄自動車道の高速道路の現場が印象に残っているという。「工事のスタートが遅れ、厳しい工期だった上に、暑さも厳しい現場だった」と振り返る。趣味は、コンサート鑑賞や旅行。56年12月2日生まれ、68歳。
鹿島道路の代表取締役副社長兼執行役員副社長に菅原賢司氏が就任した。技術研究所でキャリアをスタートさせ、北海道から沖縄まで全国を渡り歩いてきた。高速道路や工場の外構工事、空港の夜間工事など、さまざまな工種も経験。「後輩たちが壁にぶつかった時に、これまでの経験を踏まえた助言をすることが役目だ」と力を込める。企業成長のためには、「1年前と同じことをせず、現状維持というバイアスにかからない考え方を大切にしている」と表情を引き締める菅原氏に、今後の取り組みなどを聞いた。 道路舗装の市場環境について、「新設から維持、更新する時代になっている」との認識を示す。約50年前に整備されたインフラが多く、トンネルの剥落防止、高速道路会社では橋梁の架け替えなどの需要があることから、「道路舗装業界の仕事はなくならない」と強調した上で、「管路などの上のアスファルト舗装、傷んだ道路の修繕など、道路インフラ更新の需要は多くある」とみる。
道路予算は大きく変わらないが、2020年に約4000万tだったアスファルトの出荷数量が、24年度は3300万tまで落ち込んだ。「それだけアスファルト舗装の需要がない。特に地方では顕著だ」と苦境を訴え、「当社も市場に合わせて経営体制を検討しなければいけない」との認識を示す。プラントについては再編の可能性も指摘し、「三つのプラントを1カ所から遠隔操作する技術の導入など、合理化や人員の再配置、設備投資を検討する」という。
また、「社員の確保が大きな課題」と指摘する。「活躍するシニア層もいるが、それ以上に入職者が少なく、中途採用で補っており、段階的に減少している」と現状を説明する。こうした中で、27年度に始まる育成就労制度による外国人材の活躍に期待を寄せるほか、建設業のイメージアップのためにブランディングにも取り組む。
30年カーボンハーフ、50年カーボンニュートラル(CN)の実現に向け、「積極的に投資しながらCO2の削減に力を入れる」との方針だ。アスファルトプラントでは、加熱時のCO2排出を抑制するため、「フォームド化、機械の燃焼効率の改善などが必要」と指摘。CO2の排出を抑制するだけでなく、吸収する技術も開発するほか、廃油やもみ殻の有効利用なども視野に入れ、CNの取り組みを加速させる。
技術面では、リサイクル技術の確立に着目する。建築の解体から発生するコンクリートがらの利用率を促進するため、全ての材料が副産物の100%リサイクルのコンクリートや安定処理路盤材を開発している。「(リサイクル事業については)M&A(企業の合併・買収)でノウハウを持つ企業と協力することも検討する」と明かす。
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(すがはら・けんじ)1980年3月日大理工学部卒後、同年4月鹿島道路入社。2016年4月執行役員東京支店長、18年4月常務執行役員東京支店長、19年4月同生産技術本部副本部長兼技術部兼ICT施工推進室長、21年4月同経営企画部長、22年4月専務執行役員経営企画部長、23年6月取締役兼専務執行役員経営企画部長を経て、4月から現職。30歳の時に初めて主任として従事した沖縄自動車道の高速道路の現場が印象に残っているという。「工事のスタートが遅れ、厳しい工期だった上に、暑さも厳しい現場だった」と振り返る。趣味は、コンサート鑑賞や旅行。56年12月2日生まれ、68歳。