【挑戦続け未来への突破口に】
ノーリツの新社長に竹中昌之氏が就任した。同社では「新しい幸せを、わかすこと。」というミッションを掲げ、新事業の展開などに取り組む。関税問題など海外市場を取り巻く状況は不安定だが、「だからこそ過去の成功体験にこだわらず、挑戦を続けることが未来への突破口になる」と語る竹中社長に経営方針を聞いた。 --就任の抱負を
「収益構造の転換、脱炭素化を見据えた商品開発や事業展開、エリア開拓に取り組みたい。現行の中期経営計画『Vプラン26』を着実に遂行すべく、『収益性を高める財務構造の変革』『成長性を高めるポートフォリオ構想の実現』『総合力を高めるグループ組織力の向上』の責務を果たす」
「海外事業の拡大も注力テーマの一つ。最大市場となる北米では、効率給湯器の浸透に注力するとともに、成長が見込めるヒートポンプ商材に重点を置く。中国市場は住宅業界の不況などが続いていることから、オペレーションコストを下げながら、製品開発とポートフォリオの最適化を図る。また、新規エリアとして東南アジア市場の現地販売ルートを開拓する」
--脱炭素に向けた展望 は
「Vプラン26では、カーボンニュートラルを中心としたサステナビリティ経営を重点戦略として掲げ、製品と事業活動の両面からCO2排出量の削減に取り組んでいる。住宅向け製品で培ったコア技術を応用し、ハイブリッド給湯器などの環境配慮商品やヒートポンプ商材、水素燃焼給湯器などの次世代給湯器の開発と普及を加速させる」
「当社が成長分野と位置付けている非住宅分野、その中でも非対人領域への進出を図りたい。30年までに事業基盤を確立するとともに、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献していく」
--熱ソリューション事 業の進捗(しんちょく)
と今後は
「ユーザーの工場などで生じる産業排熱などの有効利用を支援するため、24年12月に事業を本格化した。既存設備における未利用熱の状況を確認し、現場に合わせて設計するとともに、システムのパッケージ納品と施工までをワンストップで提供している。導入後も効果測定によるシステム改善やアフターサポートを実施している」
「現在は想定以上の反響があり、見積件数も倍増している。地方自治体との連携にも注力しており、兵庫県明石市と協働し、市内企業の脱炭素化サポートもスタートした。今後は全国展開も目指したい」
--人材育成の取り組み は
「当社のバリューである『すべては挑戦から始まる』を企業文化として浸透させ、社員が前向きに挑戦し、変化と成長を楽しめる風土づくりを進めている。個人の自己実現と企業の持続的成長を両立するためにも、会社と個人のビジョンをつなぐ機会が必要と考え、社員と語り合う場として『わかす会議』を開いている」
* *
(たけなか まさゆき)1992年1月ノーリツ入社。2001年にハーマンに出向し、常務などを歴任した。16年にノーリツ執行役員に就任し、上席執行役員管理本部長、取締役兼常務執行役員管理本部長などを経て、25年7月から現職。富山県出身、61歳。
記者の質問に論理的かつ真摯(しんし)に答える姿に実直さがにじむ。座右の銘は「慎独」。他人が見ていなくても自分を絶えず律することを指す言葉で、日本語でいうところの「お天道さまが見ている」に当たるという。国内事業統括本部長としてかじ取りした経験を持ち、実効性のあるマネジメントに期待が寄せられる。趣味は小山薫堂氏が紹介する「湯道百選」の温泉地巡り。同社の創業の原点である日本の風呂文化を実体験で感じながら、仕事のインスピレーションを得ているのだとか。
ノーリツの新社長に竹中昌之氏が就任した。同社では「新しい幸せを、わかすこと。」というミッションを掲げ、新事業の展開などに取り組む。関税問題など海外市場を取り巻く状況は不安定だが、「だからこそ過去の成功体験にこだわらず、挑戦を続けることが未来への突破口になる」と語る竹中社長に経営方針を聞いた。 --就任の抱負を
「収益構造の転換、脱炭素化を見据えた商品開発や事業展開、エリア開拓に取り組みたい。現行の中期経営計画『Vプラン26』を着実に遂行すべく、『収益性を高める財務構造の変革』『成長性を高めるポートフォリオ構想の実現』『総合力を高めるグループ組織力の向上』の責務を果たす」
「海外事業の拡大も注力テーマの一つ。最大市場となる北米では、効率給湯器の浸透に注力するとともに、成長が見込めるヒートポンプ商材に重点を置く。中国市場は住宅業界の不況などが続いていることから、オペレーションコストを下げながら、製品開発とポートフォリオの最適化を図る。また、新規エリアとして東南アジア市場の現地販売ルートを開拓する」
--脱炭素に向けた展望 は
「Vプラン26では、カーボンニュートラルを中心としたサステナビリティ経営を重点戦略として掲げ、製品と事業活動の両面からCO2排出量の削減に取り組んでいる。住宅向け製品で培ったコア技術を応用し、ハイブリッド給湯器などの環境配慮商品やヒートポンプ商材、水素燃焼給湯器などの次世代給湯器の開発と普及を加速させる」
「当社が成長分野と位置付けている非住宅分野、その中でも非対人領域への進出を図りたい。30年までに事業基盤を確立するとともに、カーボンニュートラル社会の実現にも貢献していく」
--熱ソリューション事 業の進捗(しんちょく)
と今後は
「ユーザーの工場などで生じる産業排熱などの有効利用を支援するため、24年12月に事業を本格化した。既存設備における未利用熱の状況を確認し、現場に合わせて設計するとともに、システムのパッケージ納品と施工までをワンストップで提供している。導入後も効果測定によるシステム改善やアフターサポートを実施している」
「現在は想定以上の反響があり、見積件数も倍増している。地方自治体との連携にも注力しており、兵庫県明石市と協働し、市内企業の脱炭素化サポートもスタートした。今後は全国展開も目指したい」
--人材育成の取り組み は
「当社のバリューである『すべては挑戦から始まる』を企業文化として浸透させ、社員が前向きに挑戦し、変化と成長を楽しめる風土づくりを進めている。個人の自己実現と企業の持続的成長を両立するためにも、会社と個人のビジョンをつなぐ機会が必要と考え、社員と語り合う場として『わかす会議』を開いている」
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(たけなか まさゆき)1992年1月ノーリツ入社。2001年にハーマンに出向し、常務などを歴任した。16年にノーリツ執行役員に就任し、上席執行役員管理本部長、取締役兼常務執行役員管理本部長などを経て、25年7月から現職。富山県出身、61歳。
記者の質問に論理的かつ真摯(しんし)に答える姿に実直さがにじむ。座右の銘は「慎独」。他人が見ていなくても自分を絶えず律することを指す言葉で、日本語でいうところの「お天道さまが見ている」に当たるという。国内事業統括本部長としてかじ取りした経験を持ち、実効性のあるマネジメントに期待が寄せられる。趣味は小山薫堂氏が紹介する「湯道百選」の温泉地巡り。同社の創業の原点である日本の風呂文化を実体験で感じながら、仕事のインスピレーションを得ているのだとか。