上限クリアは建設業の成果/さらなる改善へ要請継続/藤澤日空衛会長 | 建設通信新聞Digital

7月17日 木曜日

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上限クリアは建設業の成果/さらなる改善へ要請継続/藤澤日空衛会長

 日本空調衛生工事業協会の藤澤一郎会長は16日、理事会後に会見し、今回の理事会で報告した「働き方改革に関するフォローアップアンケート〈2025年度調査〉」の結果に触れ、「時間外労働(残業時間)の上限規制開始初年度の24年度は、想定より状況が進展した。建設現場でも残業時間が減り、年間だけでなく月間ベースでも上限規制をクリアできた。休日取得もさらに進み、82%に達したことは素晴らしいこと」と総括した。会員企業の自助努力を評価する一方、「建設業界全体の成果が実ったものでもある」とし、その背景にあるゼネコン側の協力的な姿勢を歓迎した。さらなる状況の改善に向けて、日本電設工業協会(文挾誠一会長)と引き続き元請け団体などに共同要請を展開したい考えも示した。 =1面参照 設備工事業は建築工事の後工程であるが故に、工期のしわ寄せを受けやすく、自助努力だけでは労働基準法に定められた残業時間の上限を順守することは難しい。今回の調査結果で、特別条項付きの三六協定を結んでいても違法となる年間残業時間720時間超えの建設現場が調査開始以来初めてゼロ%を記録したことは、会員企業の徹底した労務管理やオフサイト施設活用などによる生産性向上などの効果も考えられるが、その企業努力を評価した藤澤会長は、ほかにも要因が考えられると指摘する。
 その一つが、新築工事などで設備工事業の元請けとなるゼネコンの協力的な姿勢だ。ゼネコン側も設備工事業と同様、上限規制を守るために労働時間の管理を徹底しており、この対応への理解も進む。藤澤会長は「ゼネコン側も土日の現場閉所の推進により、休むようになった。残業時間の管理が厳格になったことも大きい」とゼネコン側の対応を歓迎した。
 その点、日空衛は電設協との共同で、日本建設業連合会など元請け団体に対する働き方改革を推進するための要請活動を2年にわたって展開。その成果でもあるものの、「まだ課題はある。設備工程の状況の改善に向けて引き続き要請を続ける」と述べ、電設協と引き続き元請け団体などに共同要請を展開する考えを示した。
 藤澤会長は進展のもう一つの理由に、働き方改革進展の過渡期に受注した工事への置き換わりを挙げる。「24年度は工事価格が厳しい時に受注した工事が順次終わっていった。その工事費と工期が厳しかった工事が、働き方改革を反映して受注した工事へと置き換わりつつある。そうした工事が今後、増えていくため、今年度はもっと良くなることを期待している」と述べた。