現場から・琉球の威風、令和に/首里城正殿 外観復元が完了 | 建設通信新聞Digital

8月10日 日曜日

その他

現場から・琉球の威風、令和に/首里城正殿 外観復元が完了

素屋根の中で全貌を現した首里城正殿
川上所長
正殿正面
【施工は清水建設JV】

 清水建設・國場組・大米建設JVが復元整備を進めてきた首里城正殿が、焼失から約5年9カ月を経て、色も形も往時の姿を取り戻した。素屋根の内部で完成した外観が、6日、報道機関に公開された。素屋根の撤去も既に始まっている。8月中旬からは外壁材の解体に入り、西面、北面、東面、南面の順で外観があらわになる。正殿の全景が見える日が近くなっている。琉球の“威風”が、令和の時代によみがえろうとしている。 施工中の建物を保護するために設置していた仮設建物である素屋根の中に設置されていた2層の作業床が完全に取り払われ、6日には屋根材の解体も終わった。10月末に素屋根外周の足場の解体を完了する予定だ。その後、西之廊下と南之廊下の復元に着手する。両廊下は柱・梁の主要部材はひのき造りであり、塗装には久志間切弁柄を使って往時の着色を復元する。
 仮設軽量部材で構成する素屋根の下、正殿と同じ工程で復元を進め、木工事は社寺建(福井県)、瓦ぶきは島袋瓦工場(沖縄県)、漆塗り塗装は漆芸工房(同)が担当し、2026年秋ごろの復元工事完了を目指す。
 首里城公園を管理する内閣府国営沖縄記念公園事務所によると、奉神門につながる復元整備工事の見学ルートが20年6月12日に設営されてからこれまでに、約520万人が見学に訪れたという。6月には天皇・皇后両陛下と愛子内親王殿下が工事中の正殿を観覧された。清水建設JVは引き続き、“見せる復興”を推進していく。
 平成の復元工事にも携わった川上広行所長(清水建設)は、「再び首里城の外観を眺めることができ、感慨深い気持ちはあるが、『ほっとした』とはまだ言えない。これから始まる素屋根上部の鉄骨撤去が難所だ」と気を引き締める。その上で、「来年秋の完成を目指し、無事故・無災害で工事を進めたい」と語った。
 奥村耕治工事長(同)は、「足場を解体する瞬間は、建物の全貌が現れる特別なタイミングだ。達成感とともに、初めてその姿を見られるわくわく感がある」と胸の内を明かす。一方で「素屋根がなくなることで、建物が初めて風雨にさらされる。万全を期して施工に臨みたい」と決意を示した。
 工事の発注者は、内閣府沖縄総合事務局。設計は国建が担当している。