フィーチャーインタビュー2025・日立建機 先崎 正文社長 | 建設通信新聞Digital

10月11日 土曜日

インタビュー

フィーチャーインタビュー2025・日立建機 先崎 正文社長

【全ての建機がつながる世界へ/メーカー問わず一元管理】

 建設現場に並ぶさまざまな建機全てを一つのシステムで管理できたら--。こんな理想を今、日立建機は現実にしようとしている。「オープンにパートナーと手を組み、メーカーとしてのハードの強みを生かしつつ、デジタル技術を最大限に活用したサービスで現場ニーズに応えたい」と力を込める。  --2025年度の方向性は
 「革新的なソリューションを提供したい。そんな思いを表した企業概念『LANDCROS』を24年7月に制定した」
 「この具体的な姿として、今年4月、メーカーを問わずに稼働中の建機データを一元管理できる『LANDCROS Connectアセットマネジメントシステム』を開発、提供を始めた。同月にはマイニング分野に特化した『LANDCROS Connect Insight』も発表した。お客さまが管理する鉱山管理データ、グループ会社や協業するビジネスパートナーのデータなどを一元管理・相互連携させるものだ」
  --建機の電動化に向けた進捗(しんちょく)は
 「電動化では世界のトップクラスを走っていると自負している。コンストラクション分野では昨年5月、電動事業のビジネスモデルを実証しようと、協創型の研究拠点『ZERO EMISSION EV-LAB』を立ち上げ、多くの方に来場いただいている。日本で販売中の電動ショベルは5、8、13tクラスだが、国土交通省のGX(グリーントランスフォーメーション)建設機械認定を受けており、問い合わせも多い」
 「マイニング分野では、超大型のフル電動ダンプトラックの実証実験が終わった。27年度の製品化を目指しており、これも着実に開発を進めている」
  --今後の注力事業は
 「中南米事業の基盤強化だ。中南米では、チリに設立した地域統括会社が今年の4月から営業を始めた。ユーザーと密にコミュニケーションが取れる販売・サービス体制を確立した」
 「ブラジルでは、南米市場でのハードロックの採掘拡大を見越して丸紅と販売サービス会社を設立し、3月から営業が始まった。チリ、ブラジル、いずれも好調なスタートを切っている。中南米での事業基盤をさらに強化し、26年度の目標に掲げる米州での売上高3000億円達成を目指す」

【横顔】
 (せんざき・まさふみ)海外と比べた時、日本の現場はどう見えるか。そんな問いに、いつもの穏やかな目が、ぐっと真剣になった。「日本の建設現場のレベルは高いと思う」。力強い意志を感じた。