そこが聞きたい・大成ロテック取締役兼常務執行役員管理本部長兼サステナビリティ担当 板橋 明氏 | 建設通信新聞Digital

10月7日 火曜日

インタビュー

そこが聞きたい・大成ロテック取締役兼常務執行役員管理本部長兼サステナビリティ担当 板橋 明氏

【管理本部の取り組みのポイントは?/働きがい・働きやすさを重視】

 大成ロテックの取締役兼常務執行役員管理本部長兼サステナビリティ担当の板橋明氏は、「究極の目標は、社員と家族が身体的、精神的、社会的に満たされたウェルビーイングを実現すること」と語る。「最大のポイントは人的資本経営」とも。「大成建設グループとして、最大の経営資源が人だと改めて提示した。働きがい・働きやすさを重視した職場環境を実現する」と力を込める板橋氏に、管理本部の今後の取り組みを聞いた。 同本部には人事、総務、法務コンプライアンス、広報、経理、事業管理の六つの部が設置されている。部門方針には、▽人的資本経営の推進▽サステナビリティ経営の推進▽コンプライアンスの順守▽リスクマネジメントの重視▽社内外への会社の情報発信--の五つを掲げる。
 大成建設グループでは、2030年までを見据えて目指すべき重点課題や具体的な方策を整理した「TAISEI VISION 2030」の第2フェーズとなる中期経営計画が、24年から始まった。同年に策定した達成計画に向け、「管理に関連する業務だけでなく、サステナビリティへの対応も含めて30年に向けた施策を推進するのが管理本部の役割だ」と意気込む。
 「職場環境を変えることは、人事制度改革につながる」とし、人事部を先頭に、人材の確保・育成にも力を入れる。
 新卒・中途ともに目標の採用人数を達成するとともに離職を減らす。「採用、教育・研修、配置、評価のそれぞれの制度を改革しなければ社員が定着しない」とし、来春の採用に向け、「良い企業であることを分かってもらうため、技術力、研修の充実度、企業の改革について発信することが最重要」との認識を示す。
 そのために、企業の在り方や目指す姿を積極的にアピールする。「企業が将来的に変わっていく姿、企業として実現できることを説明して納得してもらい、ミスマッチも防ぐ」と見据える。
 他方、ベテラン社員が安心して働ける環境も整備する。4月からは定年を60から65歳に延長した。「これまでよりも給与水準を上げる仕組みを構築し、シニアが安心して働けるようにした」。引き続き、30年にかけてさまざまな人事制度改革を進めていく。ジョブリターン制度の導入や外国人材の採用も進めている。
 人材の育成には、「将来の姿を見せることが重要」との考えから、30年を見据えたロードマップも策定する。「今年度の上期には、キャリアパスとともにロードマップを示し、給与体系や手当、人員配置、評価など、制度も一体で改善していく」考えだ。
 大成建設グループ全体で利益を最大化し、利益を人的投資などに充てる方針を掲げており、利益率のさらなる向上、事業規模の拡大を目指す。企業成長のための投資も必須であり、「M&A(企業の合併・買収)や海外事業、設備投資などに対するリターンを見据えた設備投資計画も含めて投資判断することも一つの使命だ」という。
 脱炭素に対応するプラントへは、設備投資だけでなく再編や閉鎖も含めて検討する。中小水力発電所も初弾の工事が始まっており、今後も投資の優先度を高めていく。

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 (いたばし・あきら)1989年3月早大政治経済学部経済学科卒後、同年4月大成建設入社。2024年4月から大成ロテック執行役員管理本部副本部長兼コンプライアンス担当、25年4月常務執行役員管理本部長兼サステナビリティ担当などを経て現職。趣味は町歩きと神社仏閣、城巡り。東京都出身。65年10月12日生まれ、59歳。