フィーチャーインタビュー2025・積水化学工業 加藤 敬太社長 | 建設通信新聞Digital

9月16日 火曜日

その他

フィーチャーインタビュー2025・積水化学工業 加藤 敬太社長

【ペロブスカイトの先陣切る/高付加価値を積極展開】

 長期ビジョン「Vision 2030」の折り返しを迎える2025年は、同社が力を入れるペロブスカイト太陽電池事業で、年度内に商用販売を目指す節目の年となる。量産化体制の整備や新会社の設立などに取り組んでおり、今後さらに「新工場の設立、パートナーとの提携などを視野に入れながら事業展開していく」構えだ。“オールジャパン”でペロブスカイト太陽電池産業を守り、育てていく先導役を担う。  --24年度の振り返りを
 「構造改革や高付加価値商品の展開などが奏功し、営業利益が創業以来始めて1000億円を超えるなど好調だった。高機能プラスチックス、住宅、環境・ライフライン、メディカルの全てのカンパニーで増益となった。住宅以外のセグメントは過去最高益を更新し、住宅も増益に転じた」
  --今後の市場環境は
 「埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故を受け、老朽化した管路の補修に注目が集まっており、SPR工法はさらに需要を見込める」
 「次期中期経営計画に向けて、環境・ライフラインカンパニーでは欧州や米国、東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に海外展開を拡大していくため、付加価値の高い新製品を増やす」
  --ペロブスカイト太陽電池事業について
 「シャープの本社工場に製造設備を導入し、27年に100メガワット製造ラインの稼働を目指す。30年にはギガワット級の製造ラインを構築する。売上高は1500億-2000億円を見込む。日本政策投資銀行と新会社『積水ソーラーフィルム』も設立した。外部パートナーと協力し、さまざまな用途に展開できる施工技術を開発中だ」
 「ペロブスカイト太陽電池の強みは、ビルの壁、体育館、高速道路の防音壁などに設置し、エネルギーを地産地消できることだ。安全性や耐久性の規格を定め、まずは日本で市場を形成する。将来的には海外展開も視野に入れる」
  --住宅カンパニーの取り組みは
 「戸建て住宅とマンションのストック領域でバリューアップや流通を促進し、循環型社会の実現を目指すリノベーション事業の営業を強化した。エリアと購買層に合わせた商品を導入し、着実に棟数を増やしていくことが次期中期経営計画の鍵を握る」
 「全体の価値が高いまちづくりにも力を入れる。『リードタウン』を例に、蓄電池の利用により電力の自給自足を促すほか、ゲリラ豪雨に対応する排水管や雨水貯留浸透層といった環境・ライフラインカンパニーの製品も取り入れながら、まちを展開する」

【横顔】
 (かとう・けいた)コーヒーを豆からひいて入れることが「無心になり、自身をリセットできる」時間。夏は水出しコーヒーのおいしさのとりこになっていた。