フィーチャーインタビュー2025・文化シヤッター 小倉 博之社長 | 建設通信新聞Digital

9月9日 火曜日

インタビュー

フィーチャーインタビュー2025・文化シヤッター 小倉 博之社長

【新市場開拓しユーザーニーズ解決/“利益構造見える化”に注力】

 2025年3月期決算は、増収営業増益だった。中期経営計画で策定した計画値にあと一歩に迫る結果となった。一見すると好調に見えるが、「目標に対する思いが足りなかった」と反省を口にする。住宅着工戸数の漸減が予想される中、遮熱商品など、新たな市場ニーズに合わせた事業展開を着実に進める考えだ。  --24年度の振り返りを
 「決算は、計画値までもう少しのところだった。市場環境を外的要因、自社対応の良否を内的要因とするなら、業績の半分以上は内的要因で決まる。市場変化を意識し工夫できたか、工夫できていた場合は結果がどうなっていたかをしっかりと振り返る必要がある。ベストを出せていたら、どこまでできたかを考え、次に生かす」
  --どんな反省があったか
 「温暖化が進んでおり、豪雨対策など、環境変化に対応した商品が伸びている。遮熱対策と絡んだ高速シートシャッター『大間迅(だいまじん)』シリーズなどの売れ行きが好調だ。こうした商品は今後一層、拡販に力を入れる。ただ、営業戦略を振り返ると『あれもやりながら、これも売る』といった状況もあった。もう少し専門的な製品知識を備えた提案営業に取り組めていたら、結果は違っていたかもしれない。営業の仕方には改善の余地があった」
  --25年度の見通しは
 「24年度は受注が伸び、3月末時点の受注残高は前期比8.2%増の984億円だった。こうした環境下で今年度は連結売上高で5.1%増、営業利益で14.1%増を見込む。第1四半期は仕事量が薄いものの、第2四半期以降で伸びるという分析だ」
  --中期経営計画の進捗(しんちょく)は
 「気がかりなのは来年度、27年3月期だ。現場の人手不足が顕在化する可能性が高い。影響は受注控え、着工の繰り延べにつながる。建築系の仕事に加え、ユーザーの要望を自分たちで解決する新たな市場をつくり、対応する」
  --注力する取り組みは
 「中計で“利益構造の見える化”に取り組んでいる。重点すべきポイントが可視化されてきた。一例は物流分野での積載効率の向上だ。従来は工場で組み立てた四方枠を積載していたため、『空気を運んでいる』車両もあった。既にドア枠を現場で組み立てるノックダウン枠の採用を進めているが、今後はこれをさらに推進し、積載効率アップを加速させる。データを基に取引先に配送時間の協力を要請したり、複数箇所を経由するルートで回ったりする取り組みも検討している」

 (おぐら・ひろゆき)日課は毎朝、先祖に思いを寄せ、手を合わせること。「生きることは巡り合わせだ。今日一日のあることに感謝する」。この姿勢は、経営哲学にも通底する。