受注額・件数とも増/技術力のさらなる評価訴え/コンサル24年度総合評価実績/本社調べ | 建設通信新聞Digital

9月11日 木曜日

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受注額・件数とも増/技術力のさらなる評価訴え/コンサル24年度総合評価実績/本社調べ

総合評価落札方式の受注状況(単位:100万円、受注率は%)
 日刊建設通信新聞社が、建設コンサルタント業務の売上高上位50社程度を対象に実施した総合評価方式に関するアンケートの結果、回答があった37社合計の2024年度での受注金額は、前年度比6.5%増の1659億0300万円、受注件数は1.6%増の4578件だった。 受注件数を入札件数で割った受注率は全社平均で22.3%となり、前年度から2ポイント低下した。前年度より受注率を高めたのは14社、受注金額を伸ばしたのは24社となっている。
 各社の受注率向上の取り組みを見ると、「レビューによる技術提案書のブラッシュアップ」「積算のダブルチェックによる積算精度の向上」といった基本的な対策をはじめ、過去の対象案件の分析や適切な技術者配置をポイントに挙げる企業が多い。
 このほか、「技術者平均点の精査、確認」「資格取得支援」「若手技術者の育成や女性技術者の積極的登用」などに各社が積極的に取り組んでいる。
 発注者側の運用や入札状況の変化については、「PPIで積算内訳書が閲覧可能になり効率化したほか、入札調書の公開も進んだ」と効率化を歓迎する意見や、簡素型による負担軽減、国交省案件の閲覧資料電子化といった変化を評価する声が寄せられた。
 一方、価格よりも技術力に一層の重きを置いた評価や「発注関連文書の差し替え頻度が多い」「案内なしで評価基準が変更される」との指摘も少なくなかった。地域要件に伴う参加制限を懸念する声もあった。
 改善点や要望として多く寄せられたのは調査基準価格の引き上げだ。最低制限価格で応札をしないと落札できないケースが多いとの現状を異口同音に訴え、「低価格入札に誘導される状況を是正してほしい」との声が数多く寄せられた。
 また、「評価基準にばらつきがある。業務成績より提案書を重視してほしい」「提出書類を簡素化し、様式を統一してほしい」「質問への回答が遅く、積算内訳が不明確」など、地域や案件で異なる運用ルールの統一や、さらなる効率化を望む意見も多かった。
 評価の観点では、プロポーザルと同様に「若手・女性技術者加点は大手が有利になるため見直してほしい」とする声のほか、賃上げ加点措置について、「多くの企業が賃上げ表明に対応している状況から、現状の加点値では差別化を促進する要因にならなくなっている。むしろ、企業の情報保護取り組み(ISO14000、Pマーク)や雇用改善(えるぼし、くるみん、ユースエールなど)も技術点評価の際に対象とすべきだ」といった提起もあった。