そこが聞きたい・大林道路執行役員工務部長 副島 義昭氏 | 建設通信新聞Digital

10月10日 金曜日

インタビュー

そこが聞きたい・大林道路執行役員工務部長 副島 義昭氏

【工務部の方針は?/技術職員のレベル上げ現場支援】

 大林道路の工務部は、技術職員の配置や人材育成、環境配慮・新技術の導入などにより、現場を支援する役割を担う。副島義昭執行役員工務部長は「施工力と人材の確保、生産性向上に注力し、従業員が安心して働ける魅力ある企業にしていきたい」と意気込む。そのために「技術職員のさらなるレベルアップを図る施策を打ち出したい」と展望する副島氏に同部の今後の方針を聞いた。 企業の持続的な成長につなげるためにも、協力会社との連携強化による施工力と人材の確保、生産性向上に注力する。人材確保については、採用活動を強化するとともに、働き方改革や労働環境の改善、福利厚生の充実により、人材の定着、活躍を促す。
 人手不足は同社だけでなく協力会社も直面している課題と捉えた上で、「社会インフラの老朽化対策、国土強靱化関連工事の需要もあることから施工量は確保できているが、人材を定着させるためにはさらに働き方改革を進めることが重要」との認識を示す。
 働き方改革では、2021年度から全店の業務効率化を推進する「カエル・プロジェクト」を立ち上げている。工事部門の抱える問題点を顕在化するために実施した業務実態調査を基に、業務効率化計画を策定。「仕事を変える、早く帰る、自分を変える、ワーク・ライフ・バランスを変える」を合言葉に時短に対する従業員の意識を改革し、これまでのやり方や制度にこだわることなく、業務や仕組みの見直しを実施してきた。
 また、現場担当者の業務効率化を推進すべく、原価管理システムを改良し、試行導入を始めている。来年の4月には全店で完全移行したい考えだ。「現場の省力化につながるように、これからも現場の声に耳を傾けて改善していく」と決意を示す。
 道路舗装の市場環境は、「新設工事が減少する中、維持・メンテナンス工事の増加により、横ばいで推移していく」とみており、「発注者の官民を問わず、元請け工事の比率を引き上げたい」との考えを示す。技術職員には、「施工計画段階から大林道路の看板を背負って顧客に対応する経験を積ませることによって成長を促したい」と語る。また、「自らが工程を組むことにより、フレキシブルに現場をけん引できるようになる」ことも見据える。
 生産性向上に向けては、DX(デジタルトランスフォーメーション)やICTといった新技術を推進し、施工や業務の効率化を図る。技術職員がスキルアップできる資格取得支援なども行い、「デジタル化といった技術革新に対応する人材を育成することが生産性向上につながる」と期待を込める。
 現場への技術導入のサポートにも、技術部や機械部などとタイアップしつつ力を入れる。例えば、大林組と共同で開発した高強度繊維補強セメント系複合材料(VFC)『スティフクリート』の床版上面増厚工法の展開に今後注力していく。


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 (そえじま・よしあき)1988年3月広島工大工学部土木工学科卒後、同年4月大林道路入社。2023年4月執行役員中国支店長などを経て25年4月から現職。座右の銘は、高校時代の陸上部の顧問から掛けられた言葉「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。日本坂トンネルの改修工事の現場代理人を務め、「作業員が百何十人といる大規模かつ24時間の現場でハードだったが、工事を終えたときには達成感があった」と笑顔で振り返る。佐賀県出身。64年12月21日生まれ、60歳。