鹿島が環境配慮型オイルダンパー/世界最高レベルの制震効率/電気不要で実現 | 建設通信新聞Digital

11月5日 水曜日

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鹿島が環境配慮型オイルダンパー/世界最高レベルの制震効率/電気不要で実現

HiDAX-Reの内部機構 ReはRevolution and Ecologyの略
 鹿島は、電気不要の環境配慮型オイルダンパー「HiDAX-Re(ハイダックス・アールイー)」を開発した。同社が長年培ってきた制震技術を発展させ、外部からのエネルギーを一切必要とせずに、建物用オイルダンパーとして世界最高レベルの制震効率を発揮する。名古屋市で同社が施工を進めている19階建てのオフィス・店舗複合施設である栄トリッドスクエアに初適用した。
 鹿島は業界に先駆けて1985年から制震構造の研究開発を開始。2000年にわずかな外部電力で制御するセミアクティブ型オイルダンパーHiDAX-s、05年にコストパフォーマンスに優れる電気不要のパッシブ型HiDAX-e、15年には振動エネルギー回生システム(VERS)を搭載した制震最高効率を実現するHiDAX-Rを開発した。
 HiDAX-RはVERSの制御に電気を使用するセミアクティブ型のため、設置時の電気工事や非常時の停電に備えたフェールセーフ機能が必要だったが、今回開発したHiDAX-Reは外部からのエネルギーを一切必要としないパッシブ型オイルダンパーHiDAX-eで培ったノウハウを応用し、全ての制御弁の開閉に補助タンクの内圧の変動を利用することで電気を不要とした。
 電気工事やコントローラー、内蔵センサーなどの付属品が不要となり、防火区画に設置する場合でも特別な配慮が要らず一般的なオイルダンパーと同様の条件で設置可能。停電の影響を受けないため、VERSの効果を構造設計に取り込めるほか、維持管理では電気部品の交換が不要でメンテナンスフリーであることなどが特徴となっている。
 制震性能はHiDAX-Rと同様に、地震による建物の振動エネルギーを一時的に補助タンクに蓄え、それをダンパーの制震効率を高めるアシスト力として利用し制御エネルギーに変換することで高い効果を発揮する。風揺れから大規模地震までさまざまなレベルの揺れに対応でき、発生頻度の高い震度4-5クラスの地震による揺れや長周期地震動に特に有効だ。