清水建設/スリム耐火ウッド 新工法を開発/製作時間→半減 コスト→20%減 | 建設通信新聞Digital

11月11日 火曜日

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清水建設/スリム耐火ウッド 新工法を開発/製作時間→半減 コスト→20%減

スリム耐火ウッドの構成図
 清水建設は、木質耐火構造柱・梁「スリム耐火ウッド」の製作時間を半分に短縮し、コストを約20%削減する新工法を開発した。従来品と同様に国土交通大臣認定を取得し、実現場への適用を開始している。半乾式工法とすることでビスを外すだけで燃え止まり層を芯材からはく離でき、木材の再利用が容易になった。さらにスリム耐火ウッドの構成に防水シートと通気用の胴縁を追加した、屋外仕様の部材も製作できるようになった。 木質耐火柱・梁は一般的に、木材の「芯材」、熱の伝わりを抑制する「燃え止まり層」、柱・梁表面に露出する「燃えしろ層」の三層で構成する。
 スリム耐火ウッドは、燃え止まり層に耐火シートと強化石こうボードを組み合わせることで、燃え止まり層と燃えしろ層の厚さを他社開発の木質柱・梁と比べ最大で半分程度とし、スリムな耐火木質部材を実現している。
 スリム耐火ウッドの燃え止まり層は、1時間耐火仕様では15mm、2時間耐火仕様では25mmの厚さの石こうボードをそれぞれ2枚重ねて芯材に固定し、耐火シートで覆う。従来は石こうボード1枚ごとに接着剤と留め付け材で芯材と貼り合わせる湿式工法としていた。
 新工法では芯材と接する1枚目のボードをビスのみで固定する半乾式工法を採用。2枚目のボードは、従来どおり接着剤で固定するが、あらかじめ耐火シートと石こうボードを貼り合わせることで、耐火シートを平滑に接着しやすくなり製作精度が向上するとともに、工程全体の製作工数が半減し、生産性向上・コスト削減にもつながった。
 新工法で製作したスリム耐火ウッドには、建物解体後の木材の再利用が容易になるメリットもある。従来の湿式工法では、芯材に残った付着物をはく離する工程に労力を要しますが、半乾式を採用した新工法ではビスを外すだけで燃え止まり層を芯材からはく離できる。
 今後も、木材と他素材のハイブリッド木質構法「シミズハイウッド」の研究開発を進め、中大規模建築への木質構造の導入を拡大していく。