セメント大手3社/内需停滞が鮮明に/海外事業も伸び悩み | 建設通信新聞Digital

11月14日 金曜日

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セメント大手3社/内需停滞が鮮明に/海外事業も伸び悩み

セメント大手3社の2026年3月期第2四半期決算
 セメント大手3社の2026年3月期第2四半期決算が11日までに出そろった。国内需要の停滞により、3社いずれも減収となり、太平洋セメントとUBE三菱セメントは、米国事業が伸び悩み、共に減益となった。一方、住友大阪セメントは予定通りに上期でセメント事業を黒字に反転させた結果、増益となった。通期予想は、3社いずれも国内外の需要停滞などを背景に下方修正した。 太平洋セメントは、売上高が前年同期比1.1%減の4381億円、営業利益は9.7%減の328億円だった。 セメント内需の停滞に加え、海外子会社を通じた米国事業が伸び悩んだ。セメント国内事業は、売上高が2.1%増の1626億円、営業利益は115.8%増の112億円。内需停滞の影響を受けてセメント販売数量は4.3%減の730万tだったが、売価改定や原価改善で利益を確保した。
 一方で、海外子会社に目を向けると、米国事業で減収減益。悪天候の影響や金利の高止まりで民間部門が低調、セメント・生コンの販売数量が減少した。値上げやコスト削減に取り組んだが、営業利益も前年同期を割り込んだ。
 通期予想は売上高、営業利益共に下方修正した。セメント国内需要予想を3100万tから3050万tに変更したほか、海外子会社の業績見通しを引き下げたことによるもの。
 UBE三菱セメントは、売上高が前年同期比7.4%減の2675億円、営業利益は8.2%減の255億円だった。国内でのセメント販売価格の改定が利益を押し上げたが、販売数量減少でトップラインは停滞し、減収減益となった。
 国内事業は、売上高が4.7%減の1796億円、営業利益は16.7%増の91億円、セメント国内販売数量は2.3%減の375万tだった。第1四半期での電力事業の定期修理影響などによる減益要素はありつつも、セメント値上げや熱エネルギーコスト低下の効果により、上期の国内事業全体では減収増益となった。
 海外事業は、売上高が12.3%減の880億円、営業利益は17.5%減の165億円だった。セメント原料から生コンまでを自社で行う垂直統合を進める米国では、セメントと生コンの販売数量が共に減少した。
 通期見通しは、売上高、営業利益共に下方修正した。国内セメント販売数量の減少に加え、海外では米国事業の需要停滞の継続、豪州石炭事業での販売価格下落の影響が下期にも続くと見通した。
 住友大阪セメントは、セメント内需の停滞の影響を受け、売上高は前年同期比2.6%減の1057億円。営業利益は、価格改定効果に加えて石炭価格の低下などが損益改善を支えて前年同期比80.7%増の41億円だった。
 売上高の約7割を占めるセメント事業では、売上高は3.1%減の751億円だった。第1四半期は赤字に沈んだ営業利益は上期を終えて黒字転換、3700万円だった。
 業績予想は売上高、営業利益共に下方修正した。セメント国内需要の減少に加え、今期のセメント値上げ効果の発現が遅れると見通した。