【助成1000万円以上のケースも】
全国建設業協会(今井雅則会長)は、地域建設業へのICT機器の実装促進などを目的とする「建設市場整備推進事業費補助金」の導入効果事例を一部まとめ、18日に都内で開いた全国会長会議に報告した。調査・測量の省人化や高精度化、施工の効率化や危険箇所での作業の安全性向上などを実感する声が多く寄せられている。中には、1000万円以上の補助金を受けられるケースもある。 この補助金は、国土交通省が2024年度補正予算で新たに創設し、公募により全建が執行団体に選ばれた。災害時の応急復旧対応力の強化や、平時からの建設現場の生産性向上につながるICT機器の導入経費を半額補助するもので、全体の予算額は約2億4000万円だった。
全建が補助希望者を募集したところ、5月末まで申請を受け付けた第1次公募で“即完売”となった。都道府県建設業協会7件、建設業協同組合7件、建設会社47件の計61件への補助金交付を決定した。補助金を活用して導入したICT機器は、複数の建設企業が参加する防災訓練に使う必要がある。操作に習熟する観点から、普段使いで日常の工事の生産性向上にも生かしてもらう。
事例によると、鳥取県内の企業は遠隔操縦装置付きのICT建機と評定点不要GNSS(衛星測位システム)ローバー、新潟県内の企業はICT建機やドローン、3次元スキャナー、ローテーティングレーザーなど、徳島県内の企業は点群データリアルタイム処理機能付きレーザースキャナーやポータブル電源、ソーラーパネルなどをまとめて購入した。
導入効果を見ると、ICT建機は丁張りや手元作業員が不要になり省人化を図れるほか、遠隔操作機能は危険箇所での安全性確保などにも役立つ。ドローンや先端測量機器類は、計測やデータ整理に掛かる時間を劇的に減らし、成果物の精緻化にもつながる。
導入企業からは「今後も定期的に防災訓練を実施するとともに、各現場でも日頃からICT機器を使用し、生産性向上と省力化で担い手不足を補うことで、いつ来るか分からない災害に常に対応できるように心掛けたい」「生産性向上や知識習熟により、熟練技術者の退職による技術力低下への備えや災害時の即応力強化に努めたい」といったコメントが寄せられている。
全建が都道府県建設業協会の会員企業を対象に実施したアンケートなどによると、地域の中小建設企業でもICT活用が必要との意識は高まっているものの、扱える人材の育成や機材導入にかかる初期コストに対する不安が大きい。全建は、地域懇談会・ブロック会議で出た意見を集約し、18日に機関決定した25年度全建要望にも、建設市場整備推進事業費補助金の継続と拡充、申請手続きの簡素化を盛り込んだ。
また、全建は、政府との申し合わせに基づく生産性向上計画で、ICT施工に取り組んでいる会員企業の割合を今後5年間で85%まで高めることなどを目標に掲げている。現状は全体平均が57%だが、企業規模別に見ると、大多数を占める資本金1億円未満の階層は平均値を下回る。目標達成のためにも補助制度の継続・拡充が求められている。
全国建設業協会(今井雅則会長)は、地域建設業へのICT機器の実装促進などを目的とする「建設市場整備推進事業費補助金」の導入効果事例を一部まとめ、18日に都内で開いた全国会長会議に報告した。調査・測量の省人化や高精度化、施工の効率化や危険箇所での作業の安全性向上などを実感する声が多く寄せられている。中には、1000万円以上の補助金を受けられるケースもある。 この補助金は、国土交通省が2024年度補正予算で新たに創設し、公募により全建が執行団体に選ばれた。災害時の応急復旧対応力の強化や、平時からの建設現場の生産性向上につながるICT機器の導入経費を半額補助するもので、全体の予算額は約2億4000万円だった。
全建が補助希望者を募集したところ、5月末まで申請を受け付けた第1次公募で“即完売”となった。都道府県建設業協会7件、建設業協同組合7件、建設会社47件の計61件への補助金交付を決定した。補助金を活用して導入したICT機器は、複数の建設企業が参加する防災訓練に使う必要がある。操作に習熟する観点から、普段使いで日常の工事の生産性向上にも生かしてもらう。
事例によると、鳥取県内の企業は遠隔操縦装置付きのICT建機と評定点不要GNSS(衛星測位システム)ローバー、新潟県内の企業はICT建機やドローン、3次元スキャナー、ローテーティングレーザーなど、徳島県内の企業は点群データリアルタイム処理機能付きレーザースキャナーやポータブル電源、ソーラーパネルなどをまとめて購入した。
導入効果を見ると、ICT建機は丁張りや手元作業員が不要になり省人化を図れるほか、遠隔操作機能は危険箇所での安全性確保などにも役立つ。ドローンや先端測量機器類は、計測やデータ整理に掛かる時間を劇的に減らし、成果物の精緻化にもつながる。
導入企業からは「今後も定期的に防災訓練を実施するとともに、各現場でも日頃からICT機器を使用し、生産性向上と省力化で担い手不足を補うことで、いつ来るか分からない災害に常に対応できるように心掛けたい」「生産性向上や知識習熟により、熟練技術者の退職による技術力低下への備えや災害時の即応力強化に努めたい」といったコメントが寄せられている。
全建が都道府県建設業協会の会員企業を対象に実施したアンケートなどによると、地域の中小建設企業でもICT活用が必要との意識は高まっているものの、扱える人材の育成や機材導入にかかる初期コストに対する不安が大きい。全建は、地域懇談会・ブロック会議で出た意見を集約し、18日に機関決定した25年度全建要望にも、建設市場整備推進事業費補助金の継続と拡充、申請手続きの簡素化を盛り込んだ。
また、全建は、政府との申し合わせに基づく生産性向上計画で、ICT施工に取り組んでいる会員企業の割合を今後5年間で85%まで高めることなどを目標に掲げている。現状は全体平均が57%だが、企業規模別に見ると、大多数を占める資本金1億円未満の階層は平均値を下回る。目標達成のためにも補助制度の継続・拡充が求められている。













