建設労働者は月給制移行/支援措置の新設検討を要望/全建・厚労省専門委で主張 | 建設通信新聞Digital

10月24日 金曜日

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建設労働者は月給制移行/支援措置の新設検討を要望/全建・厚労省専門委で主張

 全国建設業協会(今井雅則会長)は15日、厚生労働省が開いた第72回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会(座長・勇上和史神戸大大学院経済学研究科教授)で、担い手確保に欠かせない処遇改善などに向けた施策を求めた。その一つとして、建設労働者の給与を日給制から月給制に移行する必要性を主張。月給制に移行した場合の支援措置の新設を検討するように要望した。建退共制度で「複数掛け金」を導入することなども提案している。 今回の会合は、2026年度から始まる「第11次建設雇用改善計画」の策定に向けた業界団体へのヒアリングを目的としたもの。全建はこの場で、山崎篤男専務理事が建設業の現状を説明した上で、今後に向けた要望事項を伝えた。その一つが、日給制から月給制への移行だ。
 山崎専務理事は「依然として多い日給制が、大きな支障になっている」と切り出し、いくら業界側が週休2日にするための運動を展開しても、日給月給であるがために休むと給料が減るため、休むのが嫌だという建設技能者の意見がいまだに多い実情を明かした。そのために月給制への移行が必要だと強調した。
 仕事がない時、他の忙しい現場に派遣しようとしても、現在、建設現場での作業は派遣禁止。その打開策として厚労省は「建設業務労働者就業機会確保事業」を設けているものの、活用時の事務負担が多大なため、全建傘下の47都道府県建設業協会でも沖縄県しか活用していないという。
 このため、労働の平準化に有効な同事業の活用促進に向けて、許可手続きや必要書類などの簡素化を進めることなどを要望した。月給制移行を促進するため、建設業に上乗せされている雇用保険二事業の保険料率1000分の1を財源に、例えば、キャリアアップ助成金コースの一つに、建設労働者の給与を日給制から月給制に移行した場合の支援措置を新設することも検討してほしいと求めた。
 この意見をきっかけに、委員からは日給月給をなくすには繁閑調整が必要という意見などが寄せられた。これに関連して、就業機会確保事業についての議論が活発化。さらなる活用に向けて、例えば建設キャリアアップシステム(CCUS)に加入している者同士ならば容易に運用できる形に緩和することを検討すべきという意見や、そもそも今とは真逆の労働供給過多の時代に設けた就業確保を目的とした事業であるため、制度緩和よりも新制度を検討する必要性なども指摘された。
 山崎専務理事はこのほかに、全産業に比べて建設業の年収が低いことも問題視。建設技能者の退職金となる建退共制度では、現在、掛け金日額320円で37年間納付しても退職金は388万円にしかならないため、CCUSのレベル別に合わせて退職金の掛け金を引き上げ、退職金1000万円超えが最低限必要だと主張し、「生涯給与増額のための退職金の増額」を求めた。
 その対策として、「複数掛け金の導入」や「上限日額800円への引き上げ」を要望。証紙貼付方式から電子ポイント方式への移行を強力に進める必要性も強調した。