クローズアップ・竹村コーポレーション1級管工事施工管理技士 高柳 春香(たかやなぎ・はるか)さん | 建設通信新聞Digital

11月27日 木曜日

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クローズアップ・竹村コーポレーション1級管工事施工管理技士 高柳 春香(たかやなぎ・はるか)さん

新たな女性社員の育成に向けて「サポート体制をさらに充実していく」と白戸さん(左)
高柳 春香さん
【一生懸命修行中/初めての現場代理人に挑戦】

 ヘルメット姿で、完成したばかりの真新しい校舎を見つめる女性。「誰かの下、サブで入るのと、トップで入るのは違いましたね」と笑顔を見せ、現場を終えた充実感があふれる。設備業界に入って6年目、小学校の増築工事で給排水衛生設備工事を担当した。初めて“現場代理人”を務めた現場だった。真っ白な建物のそばでは、子どもたちが元気に走り回る。 茨城県出身。自然が好きな少女だった。高校卒業と同時に上京、都内の大学で植物学を学んだ。卒業するまで、建設業との接点はほとんどなかった。
 業界に飛び込むきっかけは、大学時代のサークル活動。当時は、学園祭の実行委員として文化祭を切り盛りしていた。意見を出し合いながら、計画がだんだんと形になってくる。そんなプロセスが楽しかった。
 大学生活が折り返しを迎え、就職先を思案していたとき、施工管理の求人がたまたま目についた。建物は大勢でつくっていく。「仕事の流れは自分に合っているのでは」と直感した。コミュニケーションには自信あり。思い切って工事の道に踏み出した。
 新卒で施工管理の人材派遣会社に就職した。男性ばかりの職場だったが、物おじはしなかった。元気に働き、1年目が終わる頃には、現場にすっかりなじんでいた。
 初現場が一段落する頃、持ち前の行動力が、また姿を現す。「このメンバーと働きたい」。派遣契約は更新せずに退職。その足で元請けだった竹村コーポレーションの門を叩いた。
 思い切りの良さにびっくりしたのは周囲だった。「あまりの行動力に驚いた」と話すのは、同社で工事部門を統括していた白戸博昭さん。同じ現場に入っていた社員に話を聞くと、全員が採用を後押しした。「満場一致だった」と明かした。
 昨冬、初めて現場代理人に抜てきされた。まず連絡したのは、いつも現場で教えてくれる職長さん。「一緒に来てほしい」と伝えると、短く「分かった」と返ってきた。日々の仕事を通じて、信頼関係はしっかりと築けていた。
 現場は今月、無事に完工した。約1年間の奮闘に幕が下りた。
 工期中には、管工事の1級施工管理技士に合格した。次の目標は、自分の経験を若手女性社員に伝えること。「もうすぐ30代になる。ライフステージも変わる。経験したこと、これからすることをしっかりと後輩に伝えたい」と前を向く。