業務にスライド条項試行/26年度新規契約から | 建設通信新聞Digital

11月29日 土曜日

行政

業務にスライド条項試行/26年度新規契約から

 金子恭之国土交通相は26日、建設コンサルタント等業務にスライド条項を試行適用することを表明した。国土交通省の2026年度以降の新規契約案件から「変更額、スライド額を適切に算定できる業務」を対象に適用を開始する。 =関連2面
 建設コンサルタンツ協会(大本修会長)、全国測量設計業協会連合会(藤本祐二会長)、全国地質調査業協会連合会(田中誠会長)の業界3団体から要望書を受け取った際に発言した。
 金子国交相は「昨今の急激な物価高騰や13年連続の設計技術者単価の引き上げなどを踏まえると、建設コンサルタント等業務の適切な価格転嫁対策の強化は急務だ」との認識を示し、「業界側の意見も踏まえながら、適用の拡充に向けた検討も進めていきたい」と述べた。
 要望は、主に業務量の安定確保や賃金・物価変動に対応した設計業務委託費に関する内容だった。
 このうち、建設工事などで適用されているスライド条項は、現状で建設コンサルタント等業務には適用されていない。ただ、近年の業務の履行期限は、年度繰り越し業務や2カ年業務が増加している。
 国交省官房技術調査課の柴田康晴課長補佐は「契約初年度の単価で次年度も業務が進むことが普通になっているが、物価や技術者単価の上昇を反映しなければならない時期に来ている。まずはできるところからしっかり試行に取り組みたい」と話した。早期発注案件も念頭に、仕組みの具体化を急ぐ。
 要望書の提出後、大本会長は「人的資本が財産の大部分を占めるわれわれにとって、人件費は経営を左右する非常に大きな要素だ。試行の決定はありがたい」と語り、具体的な適用については「目に見えない部分が多い仕事なので、まずは具体的な作業を伴う橋梁点検などから、その他の業務にも広がればうれしい」と期待を寄せた。