前田建設の下水管老朽化対策/熊本市で実証 硫化水素の生成予測/ロボが初期空洞検知 | 建設通信新聞Digital

12月1日 月曜日

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前田建設の下水管老朽化対策/熊本市で実証 硫化水素の生成予測/ロボが初期空洞検知

シミュレーション画面
 前田建設は、下水管路の老朽化対策技術の実用化に向け、熊本市内の下水道施設で実証を始めた。硫化水素による管路の劣化リスクを可視化する技術とロボットを活用した空洞点検技術を導入し、陥没などを事前に防ぐ予防保全管理の確立につなげる。実証を通じて両技術の有効性を検証し、2026年3月ごろの実用化を目指す。 実証は熊本市上下水道局と管清工業(東京都世田谷区、長谷川健司代表取締役)と連携し、熊本市下水道管路施設包括的維持管理業務委託(中央区)の中継ポンプ場やマンホールポンプ、伏せ越し部の合計79カ所を対象として実施する。
 導入した「硫化水素劣化予測診断技術」は微生物による管路の劣化予測を適切に評価することで、硫化水素の生成から劣化までをシミュレーションで診断できる。管路・人孔の設置年度や材質、管径、深度といった基本情報、定期点検による劣化の進行状況、汚水・汚泥のサンプリング分析(微生物の地域性)により、従来の簡易評価式では難しかった硫化水素の生成、硫化水素の硫酸化、管内温度依存を考慮した詳細な管路劣化予測が可能。リスク度合いを反映した管路の最適な更新・更生計画の策定に役立てられる。
 空洞点検ロボット技術は無人で管路内の天井部を走行できる点検ロボットが電磁波レーダーで管路内から直接、管路外側の空洞を調査する。立ち入りが難しい管路でも遠隔操作で安全に調査できる。硫化水素劣化予測診断と組み合わせて、高リスクと判断された特定の管路に対する予防保全のための状態監視技術としての活用も想定する。
 従来の管路周辺の空洞調査は路面から電磁波レーダー(適用深度2m程度)で行うため、管路周辺に空洞が検出された場合、既に路面付近まで広がっているケースが多い。陥没の緊急対応ではなく、予防保全として初期空洞の検出が課題となっていた。