改正法全面施行 持続可能な建設業実現/先頭に立ち取組み前進/金子国交相 | 建設通信新聞Digital

12月16日 火曜日

行政

改正法全面施行 持続可能な建設業実現/先頭に立ち取組み前進/金子国交相

 金子恭之国土交通相は、改正建設業法・入札契約適正化法・公共工事品質確保促進法による第3次担い手3法が全面施行した12日の閣議後会見で、労務費の基準(標準労務費)を中心とする新たな商習慣の定着に向け、自身が先頭に立って取り組みを前進させる決意を示し、「将来に希望が持てる持続可能な建設業を実現する」と力を込めた=写真。 改正建設業法では、標準労務費を価格交渉時に参照できる適正労務費の相場観として機能させ、この水準を著しく下回る労務費での見積もりや契約を禁止する。建設業者は労務費の内訳を明示した見積書を作成し、発注者は見積もり内容を尊重する新たな商習慣を確立することで、適正な労務費が賃金として技能者に支払われるようにする。
 金子国交相は「建設業は人に支えられて成り立つ産業だが、将来の担い手不足が深刻な課題となっており、持続可能性が危ぶまれている状況だ」と法改正に至った問題認識を説明。標準労務費について「他産業にも例のない新たな取り組み」とした上で、「技能者一人ひとりを大切にして必要な労務費をきちんと確保し、技能者にしっかり給与を支払う企業が評価される新しい時代の建設業をつくり上げていきたい」と意気込みを語った。
 8日に発生した青森県東方沖地震で地域の建設業が緊急対応の最前線に立っていることを引き合いに出し、「建設業は災害時に応急復旧に対応するなど地域の守り手として、また地域の雇用・経済を支える産業としてなくてはならない存在だ」と強調。新たな取引ルールの定着に向けて、「私自身が先頭に立ち、発注者も含めた関係者が一丸となって取り組みを前に進め、将来に希望が持てる持続可能な建設業を実現していく」との姿勢を示した。
 標準労務費の実効性を確保するための取り組みとして、労務費を内訳明示した見積書の様式例の活用促進、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」による優良事業者の見える化、宣言企業に対する経営事項審査での加点、建設Gメンによる重点調査・指導を列挙し、「法の運用状況を丁寧にフォローアップしながら実効性を確保していく」と述べた。