循環過程の体制確保/ストック活用に軸足/国交省 | 建設通信新聞Digital

12月23日 火曜日

行政

循環過程の体制確保/ストック活用に軸足/国交省

 国土交通省は「建築分野の中長期なビジョン」について、社会資本整備審議会建築分科会の建築基準制度部会で議論した内容を中間取りまとめ案として作成した。具体的なビジョン策定に向けて検討の方向性や考え方を定めた。ビジョンを検討する上での柱として、建築生産や利活用の担い手確保を含め、建築物のライフサイクル全体に関わる体制の確保などを掲げた。
 柱にはこのほか、適切に建築ストックを活用する時代に向けた経済活動を支える社会資本の構築と、地域経済を支える仕組みや技術の適切な伝承、新技術の円滑な導入に向けた柔軟な基盤の構築を掲げた。
 ビジョンで目指す社会像の実現に向け、国民、産学官の役割分担も含めた取り組み事項は、▽建築物・市街地の在り方▽建築を支える担い手▽建築を支える環境・仕組み--の三つの視点で整理する方針を示した。
 建築物に関しては、新築に比べて圧倒的多数を占めるストックの活用に軸足を置き、取り組みを検討する。立地や周囲との関係性への配慮も考える。
 担い手の事項では、国が取り組むべき事項と、ほかの産学官が推進する事項を整理する。
 環境整備については、統計情報の不足を補いつつ、ビッグデータやシミュレーション技術などの活用を促進する。ハード面のみならず、建築物や市街地の使われ方についても評価方策を検討する。
 各視点ごとに取り組み事項を検討する上で、ある施策の推進によりほかの施策に歯止めをかけるような場合に施策間のトレードオフや優先順位を考慮するよう求める。
 また、国で一律基準を定めるのではなく地域の実態に応じて柔軟に変更できる仕組みや、新技術を試行する場の提供など技術開発を促す枠組み、中長期ビジョンの取り組みを適切に情報発信する枠組みも併せて検討していく必要性も示した。
 中長期的なビジョンは、カーボンニュートラル実現や改定中の住生活基本計画などの政府方針の目標年次である2050年を見据え、今後10年程度の政策展開の道筋としてまとめる。
 中間取りまとめ案は16日に開いた建築基準制度部会で示した。委員からの意見を踏まえ修正し、26年1月に開く分科会に報告する。同年4月以降は具体的にビジョンの検討に入り、27年春ごろの策定を目指す。