清水建設は、自社開発のＡＩ（人工知能）を活用し、建設コストと省エネルギー性能を同時に検討できる「施設の脱炭素コンサルティング事業」を開始した。顧客にとって最適なＺＥＢ（ネット・ゼロ・エネルギー・ビル）化計画を立案し、保有施設の価値向上と投資対効果の最大化を支援する。
　カーボンニュートラルの実現に向け、建物のＺＥＢ化が経営課題となる一方、建設コストの上昇が重荷となっている。こうした課題に対応するため、同社は４００棟以上のＺＥＢ提案実績を持つＡＩ「ＺＥＢ　ＳＥＥＫＥＲ（ゼブシーカー）」に、新たな機能を搭載した。
　新機能では、エネルギー機器や建材、施工に関する１０００項目に及ぶコストデータベースを基に概算コストを算出する。データベースは適時更新して物価変動にも対応する。
　コンサルティングの手順は、まず、顧客の保有施設群のエネルギーデータを分析し、建て替えや改修による省エネ効果が高い施設を選定する。次に、ガラス種別や空調方式など、省エネ性能に影響する最大７０種類の可変要素について、事業特性も踏まえながら顧客の要望をヒアリングし、５段階で評価する。
　最終的に、聴取した結果をＡＩに入力。２、３日かけて自動で導出した数万ケースの設計案の中から、目標の省エネ性能、予算、事業特性を最も満たす最適な設計案を提案する。
　コンサルティングの期間は３カ月程度で、費用は延べ１万㎡当たり約５００万円で、用途や規模により変動する。同事業は２０２５年度省エネ大賞（製品・ビジネスモデル部門）で資源エネルギー庁長官賞に選出されているほか、脱炭素経営の一環として京葉銀行（千葉市、藤田剛頭取）が既に導入している。