新社長インタビュー・三橋設計 東泰男氏 | 建設通信新聞Digital

2月10日 火曜日

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新社長インタビュー・三橋設計 東泰男氏

【構えず気取らず 自然体で】

 「構えず気取らず、自然体で」。三橋設計の新社長に就任した東泰男氏は、会社のトップという立場こそ、その姿勢を持つことが不可欠だと感じている。急激な社会変化の中にあっても、事象を冷静に見極める目を持ちながら、「しっかりと足元を固め、着実な成長を目指していく」と思いを込める東社長に、今後の経営戦略を聞いた。  --経営方針を
 「当社は、病院をはじめとする医療施設や特別養護老人ホーム、保育園などの福祉施設に特に力を入れてきた。ただ、足元では建設費高騰の影響でこうした施設の整備見送り事例が増えてきている。その中でも、『医療福祉と言えば三橋設計』という看板は堅持しつつ、学校や庁舎といった人々の生活に密着した施設も一つの軸として、伸ばしていきたい」
 「現在の官民比率は2対8程度で民間の比率が高いが、今後プロポーザルに積極的に挑戦し、官庁業務の受託拡大を目指していく。最近ではPFI案件にも積極的に取り組んでおり、特に近年需要が増えているプールや道の駅のプロジェクトに多数参画している。時代の要請を見極めながら、引き続きPFI事業に取り組んでいく」
 「民間に目を向けると、都内では比較的規模の小さいオフィスや店舗の開発案件が増えており、こちらも引き続き注力する。生産系施設の案件にも声が掛かってくるようになっている」
  --脱炭素に向けた取り組みを
 「環境に対する貢献という観点で見ると、木造で建築物をつくるべきだと感じている。保育園やグループホームといった福祉系施設ではしっかりと木を使っていきたい。建築そのものに優しさやぬくもりを与える効果もある。ビルでも取り組んでいきたい」
  --人材採用・育成について
 「東京事務所と名古屋事務所の2拠点合わせて、現在50人程度の規模だ。中途採用のみではなく、新卒採用にももう少し力を入れ、育てていくことが重要だと感じている。長く働いてもらうために、2拠点の人事交流などを行っていくことも必要だと考えている」
  --所員に求めることは
 「建築という仕事をやっている“意味”を一人ひとりに見つけてもらいたい。私は40代の頃、クライアントから『担当者を変えろ』という言葉を受けたことがある。それでも、要望を全て受け入れることがクライアントの幸福につながるわけではないと信じ、スケッチを使いながら言葉を尽くし、竣工まで続けた」
 「無事完成した際、事務所に呼ばれた。内心ドキドキしていたが、そのクライアントは『この建物はお前の作品だ』と言ってネクタイをプレゼントしてくれた。その時に、『最終的にお客さまに喜んでもらえなければ意味がない』という思いを強くした」
 「お客さまの要望に応えることは基本だが、設計者としてのプラスアルファが必要であることを実感した出来事でもあった。若手にもそれぞれの経験を通じ、自身のフィロソフィーを固めてもらいたい」

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 (あずま・やすお)1989年3月名城大理工学部建築学科卒後、同年4月三橋建築設計事務所(現三橋設計)入社。2017年12月取締役、19年4月取締役東京事務所長を経て、25年12月から現職。趣味はゴルフと旅行。直近では家族と石垣島に。独身時代はカヌーやキャンプ、サイクリングなどアクティブに活動。座右の銘は「泰然自若」。

【記者の目】
 気さくな人柄で、思わず自分の本音を話したくなるような、相手を包み込む優しさを持つ。そうした中にもぶれない芯があり、経営を率いるにふさわしい強さを感じさせる。社員に対して、「好きなことを好きなようにやってもらいたい」と言うのは、それぞれが持つ個性を信じているからこそだろう。