建築研究所とポケット・クエリーズ(東京都新宿区、佐々木宣彦社長)は、フィジカルAI(人工知能)搭載の2足歩行ロボットを活用した被災建物調査技術を共同研究している。人が遠隔で管理する中、現場では2足歩行ロボットが物理的な調査作業や調査を補助する4足歩行ロボットへの指示を行う体制を構築する。それぞれのロボットが協調して調査することで、災害の初動から復旧まで一貫して運用できる無人調査システムの確立を目指す。2030年ごろの実用化を目標としている。
両者はこれまで、複数の4足歩行ロボットによる被災建物調査技術の開発に取り組んできた。遠隔操作により複数のロボットを協働させ、損傷を確認するシステムを目指したが、ロボットに搭載したカメラでは視野が狭いなどの理由で遠隔操作は難しいことが課題に挙がった。そのため、フィジカルAIを導入した2足歩行ロボットを現場に置き、4足歩行ロボットへの指示を含め調査を自律的に行うシステムを開発することを決め、25年8月から本格的に研究に着手した。
2足歩行ロボットは全長130cm、重さ40㎏。頭部や胴体の数カ所でカメラを搭載するほか、生成AIが導入されており、遠隔操作者との対話やカメラ画像からの異状の判断を自律的に行えるようになっている。
遠隔操作は2足歩行ロボットからの映像を基に音声対話で行う。操作の際はMR(複合現実)技術を活用して遠隔操作者とロボットの視点を同期させることで現地の視覚情報を直感的に取得できるようにした。
10日に茨城県つくば市の同研究所で、報道機関に向けて被災建物調査を実演した。担当者が口頭で2足歩行ロボットに指示し、疑似的に再現した建物の柱の傾きを調査した=写真。
建築研究所の宮内博之材料研究グループ上席研究員は「フィジカルAIに関する研究はかなり難易度が高い」と指摘する。フィジカルAIに関する技術は黎明(れいめい)期の段階で、建物調査の精度も高くはないという。まずは研究を通じて技術面や運用面の課題を洗い出し、改善を図っていく考えだ。将来的にはドローンも活用し、デジタルツインの取り組みも進める。上空から採取したデータを建物調査に反映することで調査の精度を向上させる。
